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(詩)片想い

想い浮かばなかった言葉
うたわなかった唇
想い出せなかった顔
忘れ去った後の海のしおざい

想い出せなかった顔
けっして忘れた
おぼえはないはずなのに

どうしても
想い出せなかった顔、微笑み
その泣きそうだった微笑み

「だいすき」と
動かせなかった唇
「だいすき」と
いくら想っていても
心の中で何度つぶやいてみても
どれだけ「だいすき」だったか
自分でも気付かなかった心

女の子をデートに誘おうとする
瞬間にかぎっていつも
ラブソングをうまく口ずさめない

どんなにあなたのことを
想ってみても
あなたの面影はいつも
涙とひきかえにしか
浮かんでこなかった
まるで泣いたことへの同情としてだけ

多分それが
片想いの証拠だね

女の子をデートに誘おうとする
瞬間にかぎっていつも
しおざいの音を忘れてしまう

あなたを失ってからのぼくは
片想いがくせになってしまったよ


※懐かしき『詩とメルヘン』仲間の松下友香さんの「片思い」の詩です。セーラー服がまぶしいぜ!


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