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京都暮らしと庭いじり~安全地帯~


去年の晩夏、京都の庭付きの借家に引っ越して来ました。
休眠状態の庭が変化してゆく過程を綴っていきます。


先日、庭の土をスコップで耕した。
オドリコソウの地下茎がかなり深いところまで伸びていて
引っ張って抜こうとしたら、途中で切れてしまった。
その部分に水を注いで、土を柔らかくして、続きを掘り起こすことにする。
泥んこ遊び、久しぶり。

汗が地面にポトポト落ちる。
明治維新、農家の次男や三男坊が北海道に渡り、原生林を開拓した時の苦労を想う。
自分よりも年上の木を切り倒し、根を掘り起こし続けるのは根気のいる仕事だ。

土の中に、白い玉発見。黒いのもある。
囲碁の碁石だ。
会ったことのない大家さん一家の日常を想う。

ガラスの破片もチラホラと。
危ないので、割れ物箱に入れる。
発展途上国で、学校に行けずに一日中ゴミの山で鉄屑を探す子どもたちを想う。
(彼らはガラスなどの破片で手足から血を流しながら働いている。)

想いは祈りにつながっている。

安全地帯でしばし休憩。
お隣さんが気難しいお方なので、境界に幅2mくらい砂利を敷いているのだ。
安全地帯を作っているのは、朝鮮半島のDMZ(非武装地帯)の景色を体感した経験から。

10年前、韓国に演劇の仕事で演出家として1ヶ月半滞在。
韓国人俳優らと創作で作品を立ち上げ、公演を終えた後、あちこち観光した。
DMZツアーに行き、韓国と北朝鮮の国境の非武装地帯を見渡した。
https://www.konest.com/contents/spot_mise_detail.html?id=2348

金網の向こうに、北朝鮮が建てたダミーの街が見える。
空を見上げると、鳥たちが翼を広げ、飛び回っている。北にも南にも自由自在に。
人間が引いた線なんて、他の生きとし生けるものたちにはどうでもいいことだ。
私の心の翼も、金網を越えてダミーの街へと飛んでゆく。

DMZは人間が立ち入れないので、動物たちの楽園になっているのだそうな。
人間は、すぐに地面をコンクリートで固めてしまうからな。


うちの庭の前に小さな川が流れていて、土手には竹藪に葛の葉がまとわりつき、鬱蒼としている。
たくさんの鳥たちが藪の中で囀っている。

「あそこの新しい住人、よう庭に出没するなあ。要チェックや。」    とか言ってるかも。

夕空を見上げ、ゆっくり息を吐く。
さてと。もうひと踏ん張り。                     安全地帯を出て、泥だらけになって、根っこさんと綱引きしよ。



<2010年2月〜ソウル滞在日記>         http://myojinyasu.blog97.fc2.com/blog-date-20100204.html



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