日本人は失恋しているらしい。 (日記)
今朝、家を出る間際の忙しい時間にチャイムがなった。
朝は大体、化粧をしながらnoteを読んでいたりするのでついついのんびりしてしまう。
インターホンからは「郵便局です」の声。急いで前髪につけていたピンをはずす。姿見の前に2秒だけ立つ。その2秒で靴下の中に部屋着のズボンの裾を入れていたことを思い出し、慌てて直す。そしてフローリングを滑るようにして玄関へ走った。
郵便局の方は大体いつも急いでいる。それに合わせるように、こちらも負けじと売れっ子芸能人並みのサインをしてお互いに満足して別れた。
受け取った箱の送り主はやはりおじさんだった。
おじさんというのは私の長年の文通相手のことで、先週1ヶ月ぶりくらいに手紙を書いたのだった。
まずは届いた箱を眺める。
相変わらずトリッキーな梱包がされていた。
伝票に「お菓子」と書かれているので、きっと大丈夫。
養生テープをバシバシ切って中身を取り出すと、最近おじさんの中で流行っている、楽譜をコピーしたものの余白に書いた手紙が出てきた。
箱の中身はくず餅だった。去年もいただいたもので、食べ切るのに一年かかった。
おじさんの手紙の端っこには、おじさんが和菓子を送る理由が書かれていた。
私は元々和菓子好きだから、私へというよりは世間への訴えなのだろう。
それにしてもおじさんは以前、飼い猫の治療に今までよりも費用がかかるから贈り物はできないと、わざわざ知らせてくれたのに、それからどれだけのものを贈ってくれているだろう。本当に無理しないでほしい。
私からはお礼に、いつものようにビール券を送った。これでおじさんには楽しいお酒時間を過ごしてほしい。
それにしても、今回おじさんがお菓子を送ってくれたのは何故だろうと思ったら、私が前回同封した1枚の写真をたいそう気に入ったことが理由のようだった。
おじさんは何せ私より40歳も歳上なので、私のことを可愛く見えるらしい。
この世でただ一人、私を可愛いと思ってくれるおじさんのために、いつか袋とじでも作って売りつけてみたい。(冗談)
恐らくまた来週、おじさんから返事がある予感がする。だからまだ年の瀬の挨拶は書かなかった。
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