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『女子力』に救われた女。 (エッセイ)

女子力という言葉。
20代の頃は日常会話で頻繁に使っていた。
それは少し『皮肉めいた感じ』『強調した感じ』『もてはやす感じ』など、普通の単語よりはどこか飛び出た存在として使うことが多かった。

女子力というと、私は主に『外見』に関することで使ってきた。人の中身、性格、振る舞いなどには、あまり使っていない。
それは何故かと言うと、女子力という言葉が世間で頻繁に使われる頃に、私がビューティサロンに従事していたからだと思う。
圧倒的に女性客が多い環境で『女子力』について真面目に考える日々。
休みの日には『女子力向上』のための企業講習を受けに行く。営業時間外には、街ゆく人を観察し、『女子力』を秘めた若い女性を探して、モデルになってくれないかと声をかける。そしてその女性たちを『女子力』を奮って変身させ、作品にする。

このような生活の中で、私は一度『女子力』という言葉に助けられたことがある。
それは、私が初めて新規客にヘアアレンジを施すことになった時のこと。
スタイリストになったばかりの新人は、顧客を持つために優先的に新規客に入らせてもらう。その中で、ヘアアレンジは難題。
ヘアアレンジに力を入れているサロンではなく、当然できておかなければならないレベルまでは店側の指導があるが、それ以外は自主的な練習のみで技術を向上させる。
ヘアアレンジの予約がせめて前日までにわかっていて、ある程度客の希望を伝えられていたら練習やイメージができるが、突然やってきた新規客のヘアアレンジはかなり難関だった。正直、ベテランの先輩方ですら、出来れば避けて通りたいというところ。
やってきた客が用紙に書き込んでいる時間に、できるだけ情報を集めようとこっそり視線を送る。髪の長さ、髪の太さ(重要)、服装、年代……。
不安でどきどきが止まらない私に、二個上の女性の先輩が近づいてきて、私にこう言った。
「ノノさん、最後は女子力だよ!」

最後は、女子力。

先輩の名言。

私はこの先輩の言葉に、ふっと体の力が抜けたのを覚えている。
「そうですよね……女子力ですよね!」

意味がおわかりになるだろうか。
最後は女子力。技術でお金をいただくのであるから、そこを磨き、最大限発揮するのは当然。しかし、お客様をきれいにしたいと願うとき、最後の仕上げは『女子力』を最大限に駆使して魅力を引き上げることなのである。
女性として生きてきて、綺麗になりたい、美しくなりたい、魅力的でありたいと願う気持ちから研究を重ね、更には自分だけでなく『美』を通じて他人をも幸せにしたいとこの職に就いた私たちにとって、とても大切にしている『女子力』。
『女子力』とは、女性特有の感性、美意識を理解し、向上させようと努力する力のこと。女性の言う、平均的な『かわいい』が分かるかどうか。これはひとつの目安で、この平均値(時代によっても変わる)を理解している、理解しようとしていることを「女子力がある」という。
つまり、『女子力』は後天的に身につけるものであると思う。元々備わっていると言うよりは、その芽を大切に育てて、花を咲かせる努力をする者だけが手にすることのできる「力」。
それゆえ、サロンのスタッフの男性の中には、かなり「女子力」の高い人がいた。そして逆に、技術はあるのに「女子力」がないことで失客する男性スタッフもいる。

『女子力』は高めることが出来る。私は外見で発揮される力のことばかり言っているが、本当に洗練された女子力を発揮している人は、内なる美しさも発露しているはずだから、真に『女子力の高い人』は、内面も素晴らしい人のことである。





おわりに。
こういうことを語るのが大好きだ。
偏見たっぷりの持論をまくし立てる時間が至福である。
だからこの企画が山根さんから出された時には興奮して、頭がパンクしそうになったので、敢えて先に虎吉さんの「口癖」のお題に取り組んだ。(ふざけっ😃)

そして女子のことを語ると言えばジェーン・スーさん(偏見)。こちらは以前読んで面白かった。意外と共感まではなかったけれど、笑えた。




#私の思う女子力

山根さん、参加させていただきます。
よろしくお願いします°・*:.。.☆


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