尻死 【助手席の異世界転生】
尻が死んだ。
尻が死ぬって、どういうことか。
説明しないとわからない奴には話したくない。だからわかる奴だけ聞いてくれ。
尻が死んだ。
今すぐこんな尻とはおさらばして、転生したい。異世界ものが得意な友の情報によれば、シネマタクシーってものが世の中にはあって、その助手席に座って『なろう系で』と告げれば、異世界転生が可能らしい。
俺の場合は尻だけでいいから、『なろう系、尻のみ』って感じかな。
…っつ……!
時間がない。早く……
「お客さん。どうします?」
「なろ……しり……あぁっっ!」
ここは、どこだ?
画面の向こう、誰かいる。
「へい!」
俺に話しかけている。
「へい、Siri」
「Siri……?」
「君、Siriでしょ?」
俺はSiriなのか?尻だけの転生に失敗した?
「お前は……?人間?」
「ニンゲンって?まあいいや。
Siri、尻が死ぬってどういうこと?」
「ははは」
どうやら本当にここは異世界らしい。
「教えたくないね。お前なんかにわかってたまるか」
[完]
本日、体調不良につき、こんな話が出来上がりました。
喉からきております。
皆様もお気をつけて。あたたかくしてお過ごしください°・*:.。.☆
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