コロナ禍で出来なかったこと

2020年、私の目標は「外に出よう、人と触れ合おう」だった。
もともとかなりのインドア派で、お一人様好きで、友達も少ない。20代半ばからは趣味の友達もいなくなったし、さらにうつになって昨年まで3年ほど引きこもっていた。

昨年の夏に今の仕事をはじめて、頭の回転が3年前と比べると半分以下にまで鈍くなっている事に気づいた。
思えばこの1年、私の会話をする相手といえば母親だけだった。その前は一人暮らしだったからスーパーやコンビニの店員、宅配業者の人としか言葉を交わしていない。
仕事の時は職場に出ていくとはいえ、請負の一人仕事で挨拶くらいしかしない。体がしんどいからと友達への連絡も控えていたし、控えてもらっていた。
人と会話をしなければ頭の回転が鈍ると聞いた事がある。もともと頭の回転が早いというわけではないけれど、そのせいかな、となんとなく思った。

そういったわけで昨年の終わり頃に、来年は外へ出ていこうと目標を立てたのだ。
友達に連絡をして遊びに行くでもよし、習い事を始めるでもよし、何かのセミナーに参加するでもよし。その先で新たな出会いがあれば、なおよし。
友達を作るのは得意じゃないし、交流も苦手だからガツガツいくつもりもない。でも、縁があれば。そんな期待を持っていた。

新年明けて、忙しさが落ち着いてきて、2月。久しぶりに自分から友達にメッセージを送って、遊ぼうね。なんて言っている時だった。
なんだか外の世界が騒がしい。耳にしたのは、新型の感染症の噂だった。
感染力が強くて、死亡率も高いらしい。自己免疫疾患のある私は一気に警戒心が高まって、様子見モードに切り替え。まだ世間ではそんなに知られておらず、国外の話だった。住んでいる場所は田舎だし、気にする必要はない。そんな空気が漂っていた。にもかかわらず、私はそれも時間の問題だと防御壁を作った。
正直、出鼻をくじかれた気がしたのだ。やろうやろうと思っていたら邪魔が入った。今やろうと思っていたのに!私はこの事態にがっかりしてやる気を失ってしまった。

そうこうしている間にその病はあっという間に日本に広がっていった。
時間が経てば少し落ち着いて、年内に一回くらいは友達と出掛けられるかもしれない。そう考えた時もあったが、甘かった。地元でもクラスターが発生し、徐々に感染者が増えていく。友達ともまた連絡を取ったが、みんな遊びに行くのはやめようねと意見が一致した。

気づけばもう8月。状況を見ると、この目標を今年中に達成するのは無理だ。来年も怪しい。
交際費に使おうと思っていたお金はよくわからない趣味に無計画に消え、思ったよりも減っている。私はどうしたら良いのか分からなくなり、無力感に襲われるようになった。切り替えが下手な性格が仇となった。

私は引き篭もり体質だからステイホームと言われれば嬉しいし、出来ればこのままずっと外に出たくないと思ってしまうタイプだ。今でも精力的に外へ出て行って活動する人を思うだけで圧倒される。
けれど、今回ばかりは外に出られずストレスを溜めている人たちの気持ちが少しわかるような気がした。こういう時の対処法を考えておけば良かったのだが、もう遅い。

来年はどうしよう?最近はもうそんな事を考えるようになった。
まだあと4ヶ月あるよと言われそうだが、4ヶ月だと考えると焦りしか出てこない。
大体今年の目標だって半年かけて考えたのに、4ヶ月じゃあ答えが出ないまま終わってしまう。だからその先の事を考えてしまおうという事だ。

さて、来年世間はどんな年になるのやら。
どうせ私が昨年やりたいと思っていたような生活をするのは引き続き難しい気がしている。ワクチンが開発されたって、症状や後遺症、感染力を聞くと個人的にとても恐ろしい。
今感じている無力感を活力に変えられるような活動、出来れば何か形や成果が残るものがいい。自分の心を動かす何かはないものか。
そうすれば今困るほど鈍っている頭の回転も、少しは改善されるかもしれない。


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