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柔軟性を心理学の見方で考えてみる。

この記事を読んだら、こころの柔軟性が何かについて理解できます。

こんにちは、あおき@心理士です。先日「アクセプタンスについてのお話」をしましたが今日はその続きです。

よく「柔軟にいこうや」とか「硬すぎるよー」とかっていわれないですか?この柔軟にいこうやとか硬すぎるよって話、「抽象的すぎて何言われてるのかわかんない」っすよね。

この論文では、「こころの柔軟性を心理学ではどうやってとらえているのか?」について、さまざまな論文で述べていることをまとめてくれています。調べたところ、たくさんのこころの柔軟性についての概念が出てきたようです。論文内では、上位3つについて取り上げています。

◆心理的柔軟性

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研究で使われている柔軟性の概念の中で、いちばん多かったのは「心理的柔軟性(Psychological flexibility)」でした。この説明では・・・

目標を達成したり、個人の価値や目標に沿って人生を送ることができる能力

が柔軟性であると述べられています。もう少し掘り下げると、

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状況・周囲・文脈のニーズに従いつつ、目標を達成すること

状況や環境に合わせつつ、自分の目標や価値に沿って行動すること

望ましくない考えや感情などひとの内部でおこるような苦悩や環境からの新しい情報を考慮したりするなど、じぶんの人生を邪魔しようとすることに耐え、受け入れ、または克服すること

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ということでした。かなり小難しく複合的なスキルが、柔軟性には求められていることがわかります。

じぶんが大切にしたいことに向けて生きるために、自分の大切にしたいことを知り、大切にしたいことに向けて行動すること。そして、大切にしたいことに向けて行動するときに、それを邪魔してくるようなじぶんの考えや感情とうまく付き合っていきましょう 

ということでしょうか。

これらの説明は Hayes and colleaguesの一連の研究と Kashdan and Rottenberg (2010) に基づいて構成されています。

◆心理的非柔軟性

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先ほどは「柔らかさ」の話でしたが、今度は「硬さ」の話です。

心理的柔軟性でもありましたが、心理的非柔軟性の中心にあるのは「目標を達成できないこと」であり、特に「価値(大切にしたいこと)にそって行動できないこと」と表現されています。

このような価値や目標に沿って行動ができない理由を、何らかの心理的な邪魔が入るためと述べています。例えば、

「支配へのこだわり」「愛着へのこだわり」「行為へのこだわり」「ルールへのこだわり」

などがあげられます。

「こだわり」は、望ましくない思考や感情、不快感をコントロールするために生じるようです。

心理的非柔軟性は心理的柔軟性が少ないとも考えられますが、認知的フュージョンや体験の回避というような思考や感情と自分自身が一体となってしまい過ぎるといった心理学的概念から説明しようともされています。

上記の説明はBondら(2011)とHayesら(2006)の説明に基づいています。

◆認知的柔軟性

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3つ目に多かったのは「認知的柔軟性(Cognitive flexibility)」でした。

Martinたちの定義では

① 意識(どのような柔軟な反応があるかを知っていること)

② 意欲(柔軟な対応に前向きであること)

③ 自己効力感(柔軟な反応ができると思えていること)

から構成されています。一方、Lezak (1995, 2004) の定義では、

感情、思考、行動を変化させる能力

と定義されています。これらを合わせて考えると、

行動を起こすこと(感情、思考、行動を変えること)で何らかの目的(すなわち、個人的な目標や状況的な必要性)を達成する

という側面があるようです。その他にも、

周囲からの要求が変化した際の対応、新しい知識や情報への対応、衝動的あるいは意味のない反応を減らすなどもあげられていました。

上記の説明はMartin たちの一連の研究やLezak(1995, 2004)の定義に基づいています。

そのほかにも、対処柔軟性や感情的柔軟性など、さまざまな概念があるようです。心理学の概念はたくさんありますねぇ。

◆こころが柔軟だとなんかいいことあるの?

心理学でいう柔軟性は、さまざまなメンタルヘルスの問題や幸福感などとの関連性があることがわかっています。

メンタルヘルスの問題では、うつ病や不安症において、柔軟性が低いことが明らかにされています。うつ病では、単一の考えをしがちであったり、ネガティブ感情への注目が強かったりなどします。また、不安症では、恐怖を生じさせるできごとを回避するといった行動の偏りがあったりもします

心理的に柔軟な人のほうが、生活の質が高く、ポジティブな人間関係を作りやすく、身体的にも健康であるといわれています。

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全体をまとめると心理学でいう柔軟性は「目標(や自分の大切にしたいこと)を達成するために、こだわりなどの目標達成を邪魔しようとすることとうまく付き合っていき、目標達成に必要な行動をとる力」といえるでしょうか。

具体的にこころをどうやってやわらかくするのか???って話は、本日のYouTube配信の「メンタルヘルスのミライ」で聞けると思いますのでよかったら見に来てくださいね(宣伝です)

見逃した方は、アーカイブも残っているはず!!!(宣伝です)

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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