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不確実さに慣れるには?

福島県立医科大学で医学教育と研究者をしているあおきしゅんたろうといいます。

この先どうなることやら、心配だわと思うことが多すぎませんか…通信障害もですし、暑さとかも、経済状況も不安、わたしはラジオにお便りが来るか不安に思う毎日です。

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言ってしまえば確実な未来なんて1つもないわけで、ほとんどのことがらは不確実です。確実性を求めると不安になるわけなので、不確実さと向き合う必要があります。

この不確実さについての不安を感じる精神疾患に全般性不安症があります。今日は全般性不安症の治療方法を眺めながら、不確実さと向き合うにはどうしたらいいのか?について考えてみましょう。

解決できることとできないことをわけて考える。


不確実さへの不安を考えるときに、多くの場合は解決できない問題を解決したいと思って、解決できないことに対して不安になっていることが多いです。

というのも、解決できる問題であれば解決したら不安は収まるのですが、解決できない問題はいつまで頑張って心配になっても解決することはできません。

まず、解決できることとできないことをわけて考えましょう。日本の経済問題どうしよう、このままでいいのだろうか。熱さがこのまま続く、これは異常気象の始まりなのだろうか、などなど、これらは解決不可能です。

じぶんにできることは、将来の経済問題に備えて金融の勉強をしておく、暑い日は外に出ない、といったことです。こういった、解決できる問題は先延ばしせずに、さっさと解決してしまうのが精神的健康にはいいといわれております。

行動実験する。

不確実な未来を恐れていたとして、恐れていることの約95%程度のことは実際には起こらないといわれています。ですので、頭の中で考えている不安はバーチャルなものである可能性が高いのですが、つい考えてしまいます。

この行動実験とは、頭の中で考えている予測が実際に起こるのかを試すことです。ここでは、ある状況について以下の3つの側面を書き出してもらいます。

恐れていた結果:

実際の結果:

その結果にどう対処したか:

例えば、晩ごはんに何を食べるかに関する行動実験を行うことにしましょう。恐れている結果は、「その食べ物が気に入らないこと」かもしれません。そして、実際の結果(気に入ったか気に入らなかったか)と、対処法を記録していきます。

料理が気に入った場合、対処法はなくてもよくて、良かったですねで終わりです。食べ物が気に入らなかった場合は、「家に帰ってから他のものを食べた」とか「間違った食事を選んでしまった自分に腹が立った」などと書くかもしれません。

行動実験の目的は、時間をかけて、小さな出来事から大きな出来事へと、複数の環境(仕事、家庭、社会的環境)を越えて行動実験をしていくことです。

不確実な状況でもほとんどの場合、結果が許容できるものであり、そうでない場合であっても、結果について対処できているということを実体験することが大切です。

不確実性への不安にどう対処するかによっては、そもそも心配には何の意味もないことに気づくことができるかもしれません。例えば、約束の時間に1時間前に出発していた場合、実際に時間通りに到着するのに必要な時間を知ることはできないですよね。

行動実験については過去の記事でも書いていますので、もしよかったら~。

考えること自体の捉え方を変える。


メタ認知と言ったりもしますが、みなさんは考えることに対して、いろいろな意見を持っています。例えば「しっかりと考え抜くことで物事の決断がうまくいく」であったり、「自分の中にある常識を信用するべきだ」などです。

不確実性に対しては、「不確実なことに対して、納得のいくまで考えなければいけない」とか「不確実なことが実際に起こったとしたら、その不安には耐えられないだろう」という考えが出てきたりもします。

自分自身に尋ねてみましょう。不確実性を受け入れることで、どんなメリットがあるでしょうか?

以下のようなことが考えられるかもしれません。

不安や心配が少なくなる、新しい経験をしたり、新しい挑戦をしたりすることができる、起こらないかもしれない問題を心配するのではなく、現実の問題解決に集中する時間が持てる。

こういった理由が重要であれば、行動実験をしてみて、不安な考えから距離を置き、不安なままとどまる練習をしてみましょう。そうすると、不確実なことを考えるメリットよりも、不確実なことを考えることから距離をとることのメリットが上回り、不確実を受け入れることができるようになります。

自分の考えから距離を置く。

最後に、不確実なことから距離をとるメリットを考えたとしても、実際にどうやって距離をとるのかを学ぶこともまた重要なことです。

自分の考えから距離を置くには、考えは単なる考えであり、考えに対してすべて反応する必要はないことを理解することが大切です。

例えば、「今日は飛行機が墜落する日かもしれない」と考えたとしましょう。その考えと向き合った場合、様々な心配が出てきます。一方、「面白い考えだな」と思い、その考えを放置できたとしたらどうでしょうか?

マインドフルネスで良く行うエクササイズに流れる葉っぱのエクササイズというものがあります。頭の中に川に浮かぶ葉っぱをイメージして、考えをその葉っぱに乗せて浮かせてみましょう。

考えに反応せず、ただの考えであることを理解しましょう。不安が解消されるまで放置しておきます。飛行機が墜落してもしなくても、心配したところで、通常の安全対策以上の結果を得ることはできません。

その他にもマインドフルネスのやり方はいろいろとありますので、参考にしてみてくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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