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研究者から学ぶクリエイティビティ【研究者日記】

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

大量生産の時代から、なんらかの価値を創造する時代へと変わってきています。新しい価値を生み出すことが求められます。

どんな時代でも、研究者たちは新しい価値を生み出してきました。しかしながら、新しい価値を生み出すにはどのように考えたらいいのでしょうか?

今日の記事では研究者が「新しい価値を生み出すときにどのように発想しているか?」について考えてみたいと思います。

新しい価値は「独自性」によって伝える

研究者が論文を書いたりとか、研究費助成金の申請をするときにだいじになることは「独自性」です。

独自性というのは”新しさ”のことなのですが、独自性というのは「過去のなんらかの事象と比較した時に、自分のアイデアはなにが異なるのか?」です。「What's new?Why important?」と先輩には教えられました。

これを考えるときに重要なのが、「先行研究」です。研究は巨人の肩の上に立つ、先人たちの積み重ねの上にあります。突然、新しい発想だ!と思ったとしても、実は昔にすでに行われていたということがあります。

また、先行研究のない新しいアイデアは信ぴょう性にかけるかもしれません。先行研究があってこそ、エビデンスに基づいて次の発想に進めるのですが、ないとあまりにエキセントリックになってしまうということがあります。

少なくとも当該分野の先行研究や先行研究をまとめたレビュー論文などをひたすら読みます。

そしてそれらの先行研究と比べて、じぶんの発想はどのように新しいのかについて突き詰めていきます。

どのように差異を明確にするか?

新しさのポイントは研究によって異なりますが、測定方法を変えてみる、手法を変えてみる、対象者を変えてみるなどということがあります。

あるいは先行研究の問題点を洗い出して、その問題点を解決するような研究デザインをしてみることもあったりします。

そういった点では、他の分野から応用するということができると新しい研究をすることができます。異質度が高い分野から、じぶんの分野に新しい発想を引き込むことができたら、新しい価値を作ることができます。

わたしたちの分野の心理療法の研究だと、これまでアンケート調査で効果測定していたものを、機械学習技術を応用して、クライエントさんが発することばの変化を解析することで、より個人に合わせた結果を出すことができるようになります。

異質度が高いほど新しさは際立つのですが、信ぴょう性は下がるかもしれないので、先行研究をしっかりと読み込み、理論武装するということが大事になってきます。

裁量度が高いほど、創造性は伸びる

多くのラボでは、上の人が巨額の資金調達をしてきて、そのラボの研究費に関連する研究を行われることが多いです。

この場合、割と大規模な研究を行うことができて、研究手法やお作法を覚えるのには適していると思います。

一方、すでにある発想について具現化していく手続きになるので、独自性を考えることからは少しずれる場合もあるでしょう。

心理学のゼミでは、じぶんで興味ある分野の論文を読み、独自性を考えて、新しい価値を作っていく訓練をしたりもします。

既存のあるものに沿って、研究をすすめていくことももちろんだいじなことですが、じぶんじしんで独自性を考えて進めていくこともだいじだったりします。

わたし自身の研究者としての経験から

個人的に思うのは圧倒的に経験は大事だと思います。新しい物事を見てみようとして、いろいろな土地に行ってみたり、いろいろな人と話したり、いろいろな情報にふれてみる。

じぶんは心理療法の中でも認知行動療法の研究を行うゼミで、研究の裁量度はある程度与えられていましたが、それでも認知行動療法関係の人以外と会うことが少なかったですし、それ以外の情報にふれることはあまり多くはありませんでした。

博士課程を出て、医学部に就職をしてみたら、全然違う価値観がそこには合って、本当に面白いことの連続でした。いろいろな人に、新しい経験をさせてもらって、新しい出会いを与えてもらって、わたしが最近やってみたいことは、けっこう新しい価値を作れそうかなというところまで来ています。

まだまだ勉強も行動も足りていませんが、わたしも経験して、勉強して、行動していきたいと思います。

それでは最後までお付き合いいただいてありがとうございました!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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