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教育者も科学的思考を!【科学者ー教育者モデル】

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

おお、教育にも科学的思考をって発想があったんだあと感動したので共有します。

医療の現場では「エビデンスベースドメディスン」という発想があって、科学的根拠に基づいた医療を提供しようという発想があります。

そりゃそうですよね、病院に行ったとして、効くかどうかわからない薬草を処方されたとして飲みたくないですよね。

そういった科学的根拠に基づいて治療が行われるのですが、科学的根拠を使いこなすためにも訓練が必要です。

わたしがお世話になった北海道医療大学は心理カウンセラーの養成の際に「科学者ー実践家モデル」に基づいて教育をおこなっています(した?)。

さきほどあげた科学的根拠や論理的思考を利用して、ユーザーの方に最適な方法を提供する実践家を育成するというモデルです。理にかなっていますよね。

その教育版が「科学者ー教育者モデル」ということになるのです。

教育現場もなかなか経験則によって教育が行われることが多いように感じますし、大学の先生なんかは修士課程や博士課程で研究方法や学問については深く学ぶのですが、教育の方法は学びません。

ですので、大学に入って、初めて教育というものを経験するので、メソッドも何も知らないまま教育をはじめます。

なかなかエグい話ですよね…。わたしは専門学校が教える経験のはじめてだったのですが、めちゃくちゃ困りました。先輩の資料などがありましたので、何をするかはわかるのですが、どう教えたらいいかはわかりません。

ですので、トライ&エラーを重ねながら、経験を重ねて上達していくのですが、それよりも教育をこういう風にしたらいいよねっていうデータがあって、それに基づいた教育をおこなうほうがいいわけです。

こちらの論文に書かれているのですが、

PsycINFOデータベースで検索すると、「科学者ー実践家」という用語で2,375件ヒットするが、「科学者ー教育者」は11件である。エビデンスに基づく学習(EBL)やエビデンスに基づく教育(EBT)を確認する試みはあるが、これらの取り組みは、エビデンスに基づく医療の動きから大きく遅れているようである。

まあ、そうですよね…そして海外でもそうなんだから日本ではもっとそうですよね。

アメリカ心理学会では、「科学者ー教育者モデル」を心理学教育にも活かそうというような動きもあるようで、下記の書籍も出ているみたいです。

Bernstein DJ, Addison W, Altman C, et al. Toward a scientist-educator model of teaching psychology. In: Halpern DF, editor. Undergraduate Education in Psychology: A Blueprint for the Future of the Discipline. Washington, DC: American Psychological Association; 2010. pp. 29–45. 

わたしも、さまざまな教育場面でエビデンスを活用するのがいいなと思ってますし、心理学的なテクニックもいろいろと使えるんじゃないかなと思っています。

このnoteでも「科学者-教育者」の発展に貢献できるように、教育とエビデンスについても掘り下げて考えていきたいと思います。

以下はわたしが読んでみよかなと思っている文献です、もし興味があれば読んでみてください~。

Bernstein D. A scientist-practitioner perspective on psychological literacy. In: Cranney J, Dunn DS, editors. The Psychologically Literate Citizen: Foundations and Global Perspectives. New York, NY: Oxford University Press; 2011. pp. 281–295. 

Groccia JE, Buskist W. Need for evidence-based teaching. New Dir Teach Learn. 2011;128:5–11. 

Dunn DS, Saville BK, Baker SC, Marek P. Evidence-based teaching: tools and techniques that promote learning in the psychology classroom. Aust J Psychol. 2013;65(1):5–13. 

あ、追記。わたしは、経験則がダメだと考えているわけではないです。原体験やこれまでの学習履歴は思いを伝えるうえではとても大事だと思いますし、必要なことだとも思っています。

一方で、経験則のなかでもエビデンス的には逆だったということもあるでしょうし(根性論とか)、経験則だけではうまくいかないこともあると思います。

経験則とエビデンスをバランスよく使っていくのがいいのかなと思っている立場です。

それでは最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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