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模擬患者さんのフィードバックが学生の医療コミュニケーションを良くする話。

こんにちは、あおきです。今日は、医学教育での医療コミュニケーションについてのお話です。先日の論文読む会で話題に上がりました。

医学教育では、学生が模擬患者さんと面接の練習をして、医療面接を上手に行うための練習をします。

そのときに、模擬患者さんが学生にフィードバックをすることが有効と言われています。医療面接をしたあとに、どんなフィードバックをしたら学生に効果的なのか?に関するレビュー研究です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19250346/

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SPさんがフィードバックをするのに好ましい方法は以下の通りでした。

①守秘義務などを守る。

学生さんもSPさんも安全におこなうのに最低限ですね。安心してディスカッションするためにも、しっかりと説明しましょう。

②まず、学生の自己評価をする。

まず、学生さんがやってみてどうだったか?を自覚してから進めるのがいいです。ふりかえりのときに、面接やってみてどうだった?と聞いてから進めることが多いですね。

③学生とSPさんで双方向にフィードバックをする。

この手の実習では、観察者の学生さんにも良かったところと自分だったらこうするかな?をフィードバックしてもらいます。SPさんにもフィードバックしてもらい、それに対して学生さんがどう感じたか?のリコメントももらうといいです。

④何が起こったかをはっきりする。

⑤にてまとめて!

⑤観察可能な行動に焦点を当てる。

まず、面接場面でどういうことが起こっていたか?を振り返るといいです。やる気とか雰囲気とかあいまいなことを取り上げると、学生さんがどうしていいかわからなくなるので、アイコンタクトとかうなづくとか、この専門用語がわからなかったとか、観察できる行動に焦点を当てると、次面接するとしたらどうしたらいいか?を具体的に理解できます。

⑥学生自身のことには焦点を当てない。

学生さんのパーソナリティなどに焦点を当てると、とても責められてる感じになって、お互いの精神的健康を害します。あくまで、先ほど話したような行動に焦点を当てましょう。

⑦肯定的なあと否定的なフィードバックをする。

ダメ出しの嵐も健康を害します。必ず良かったところをフィードバックします。良かったところを理解すると次同じような行動をすると同じように良い面接ができる可能性が高いです。

⑧面接の直後に実施する。

時間を置いてからだと忘れてしまうので、経験がフレッシュなうちにフィードバックを行いましょう。

⑨SPさん自身で作成したシナリオであるほうがいいかもしれない。

私たちの実習ではあらかじめ作られたシナリオを演じてもらいます。ただ、自身で作ったシナリオのほうが役に入り込みやすいのもあるかもです。あんまり、自分に近い役も侵襲性が高いとも言われてますね(慢性疾患の方が慢性疾患の役を演じるとか)。

⑩書面でフィードバックを作成してからフィードバックしたほうが良い。

空いてる時間にSPさんにフィードバック内容を作成してもらうと、フィードバック効率が良いです。

⑪1対1ではなく、他のSPさんや学生もいたほうがいい。

そのほうが多面的な意見が出て良いです。あと、なんか変な雰囲気にならないように中立的立場のファシリテーターは必須です。

⑫最大10名のグループが良い。

あんまり人が多いと収拾がつかなくなりますし、時間がめちゃくちゃかかります。

⑬教員も2名ほどいたほうが良い。

臨床スキルの観点からのフィードバックもあるほうがいいです。主観ばっかりになるのも、受け取る相手によって感想は違いますし、その1人の意見が一般化されて学生さんに伝わるのもまずいので、ある程度軌道修正が必要になることもありますね。

まとめ

ほい、ということでした。わたしも授業で医療面接を担当してますが、わたしから言われるよりも、学生同士や模擬患者さんからフィードバックされるほうが学生さんの心に残りやすいようですね。

余談ですが、心理学者のフィードバックは、医師や学生同士のフィードバックよりも印象に残らないという研究を読んでから、わたしはフィードバックするのをやめました笑。

では、また!!!

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