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AO・推薦のための「活動実績づくり」の罠:後編【実績より重要なこと】

<参考記事>AO・推薦のための“活動実績づくり”の罠
前編【その是非を問う】
中編【諸刃の剣】

AO・推薦入試の提出書類に課される「活動報告書」ー。

この書類に記載するための“活動実績”が欲しいと考える受験生の心理を利用した“一部の動き”が、雑誌やネットなどのメディアなどを通じて問題視され、見る見るうちにAO・推薦入試の本質が捻じ曲げられてしまう状況を目の当たりにした私は、、、

「この誤解を解くには、辻説法しかない・・・!」

そう考えました。

辻説法とは、ご存知の通り、「路傍で道行く人に説法する布教活動」のことです。

ー『意味のある言葉』を少数の人々に誠意をもって語る方が、
『意味のない言葉を喧伝する』よりも、遥かに大きな効果になるー

これは、ある本の中にあった言葉ですが、
まさに私は、AO・推薦入試自体に蔓延ってしまっている根深い偏見を、
まずは大人たち=「受験生の保護者の方」に対して、
「一人ひとりとの対話」という辻説法形式によって解いていこう
と考えたのです。

当時担当していた中高生の保護者の方を対象に、「保護者懇親会」という形式で毎週のように10名ほどお呼びし、質疑応答も交えながら、
AO・推薦入試について、事実と本音でお伝えする場
を設けました。」

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活動報告書はもちろんこと志望理由書や面接などの準備を行うにあたり、
それらに対してどう向き合えば良いのか、じっくりと話し合いました。

よくある安易な方法論を求めるがあまり、
「どんな実績が有利か?」
「何を書けばよいのか?」
「どんなことを言えばよいのか?」
という、近視眼的目線でAO・推薦入試を捉えるのではなく、
「自分がどんな人間になりたいのか?」について、
深く考えるきっかけとして受験を捉える方が健全であり、
よほど成果につながる
ことなどを、私の経験も踏まえながら伝えていきました。

AO・推薦入試についての理解を深めることがきっかけの懇親会でしたが、
保護者の方と車座になって意見を重ね合わせていくと、
子育てに関するご家庭の様々な悩みがあることを実感するように
なりました。

特に多かったのが、
「もう半分大人の入口に立っている高校生の子供に対して、親としてどうか関わっていったら良いのか分からない」という悩みです。

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「自分(親)が大学受験をする時代は、保護者は全く関わらなかったし、子供に任せておけば良いのではないか?」
とはっきりおっしゃる保護者の方もいらっしゃいました。

確かに、答えのあるペーパーテストであれば、極端な話、問題集と回答集、参考書さえあれば、あとは自己完結型で学ぶことが可能です。

ただ、AO・推薦入試には正解という概念はありません。
また、前々回の記事で、AO・推薦入試は「動詞的」だとお伝えした通り、
受験生の活動や経験から、その可能性を測る動的な選抜がAO・推薦入試です。その行動の先には、おのずと自分以外の他者との出会いが生まれます。

自己完結では済まされない、「他者との関わり」が発生するのです。
これは、知識の出し入れをただ黙々と続ける“お一人様の学び”とは、
ある意味で正反対
です。

そして、そうした出会いや人との摩擦の中で、どんな新価値や関係性を結べるかが、本当の意味での「活動実績」の価値です。

ハーバードビジネススクールの看板教授であったクリステンセン教授は、
「人生を測るものさし(how to measure your life)」について、
「あなたが何をしたかではなく、あなたが出会った人との関係の中にある」
と言っています。

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「活動実績づくり」も、その意味で捉えれば、誰と出会い、どんな関係を築けたかに価値があるのだと思いますし、その本質を言語化・可視化したものが良質な「活動報告書」になります。

「親として子供にどのように関わったら良いかわからない」という悩みに対しては、正解も王道もありません。
ですが、人生で必要な出会いを引き寄せ、良質な関係を築くためのモデルづくりが「親と子の関係」にあることは間違いないのではと思います。

実際、懇親会での対話を通して、保護者の方がそのような認識に変化されたご家庭の受験生は、みるみるうちに成長していきました。
自分自身の経験や活動の価値を、賞の大きさや順位で示すのではなく、
「そこで何を得たのか?何を学んだのか?」ということを主軸にした、
非常に説得力ある活動報告書を作成するように
なっていったのです。

いずれにしても、AO・推薦入試という受験体験を、
良い意味で家族ぐるみで活用する
ことで、親と子という枠組みだけでは認識できない「一人の人間」としての姿を、浮き彫りにすることができるのだと、私は思います。

今回の記事は以上です。

次は、「三世代家族と子供の学力の不思議」です。
お楽しみに。

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