見出し画像

ホームにて

ホームにやってきた電車を一本見逃した。

特に理由もないけれど、電車が滑り込んでくるところから遠くへゆくまでを見ていた。
電車に乗ってしまえば、なにか大きな流れに追いやられて考える時間がなくなってしまうような気がして。
ドアが開いて、乗客と目が合って、そのままドアが閉じる。ひとつのドアが忙しさを境に私と電車の中を分断するように閉まる。
営みを乗せて走っていく電車、さようなら。
もうすぐ私もそちらへ行きますよ。
ただもう少しだけこうして居られればいいから。

次に来る電車に私は乗るのかしら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?