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甲子園とチークの話をしよう。

僕が最初に知った化粧品はチークだった。

僕らは中学2年の時に毎日LINEをしていたが学校では一言も話さない奇妙な関係だった。多分互いにネット弁慶だったのだと思う。そしてこれは希望的観測だが互いに好意を抱いていたと思う。

彼女はバスケ部で僕は野球部で、彼女はインターハイに、僕は甲子園に出るのが夢だった。うちの中学のバスケ部は強豪で、公立にも関わらず学区外の生徒が多く彼女もその1人だった。

僕の方はというとパッとしない選手で、部としてもパッとしない学校だった。

それでも僕は甲子園に出たくて毎日練習していたし、勉強も頑張った。努力は必ず報われると信じていた。でもそれは半分正解で半分間違っていた。

僕らがLINEをするきっかけは、僕の一目惚れだった。
2年生に上がった初日だ。出席番号の組み合わせで斜め前に座っていたのが彼女だった。

HRで資料を回すときに、彼女の振り向いた顔に惹かれた。

誤解を恐れずに言うならば彼女は決して美人でも可愛い系でもなかった。
くっきりと大きい瞳と、リスみたいにふっくらした頬が印象的で、鍛え抜かれた、体育会系ならではの凛々しさが他の女子と違って魅力的だった。

僕はどうにかして彼女と付き合いたかった。

でも女子と話せない。中学2年男子の多くは女子と接する方法を忘れるか怖くなるかのどちらかで、女子に積極的に話しかけると冷やかされる雰囲気すらあった。

そうなるともうLINEしかなかった。
邪道であると自覚はしていたが手段を選んでチャンスを逃す方が後悔すると思ってクラスのグループラインから彼女のアカウントを追加した。

この時、すでに5月中旬。1か月以上、一言も話していなかった。
今思えば、そんな奴から急にLINEが着たら怖い。

つづくーーーーーーーー……

あお


生活費になります。食費。育ち盛りゆえ。。