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短編集(2024)

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2024年4月の記事一覧

結婚ごっこ。

結婚ごっこ。

指輪を買ってみた。

2つ、隣町の雑貨屋で買った。
1個500円。銀色の輪っかを。

ことの発端は彼女。

「結婚ごっこしよう」

時々意味不明なことを言い出す。
でも面白そうなので毎回乗ってしまう。

僕らは電車に乗った。
明るいうちに外に出るのは久しぶりで、ちょっとだけ眩暈がした。

雑貨屋で指輪を2つ買って、店を出て早速左手の薬指にはめてみた。

「ムズムズするねえ」と君は嬉しそうだった。

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演じる。嘘。

演じる。嘘。

最近、ブログを始めたんです。

もちろん、「あお」でなく、本名でもなく。
アイコンも、雰囲気の違うものを外注して。
「キャラ」も「あお」とは違います。もちろん、本名の僕とも。

好きなんです。嘘をつくのが。

感覚としてはアレです。
親の前の自分、友達といる時の自分、恋人といる時の自分、職場での自分。これらの拡張版です。

これらは半分は無意識下で行われていることです。
「よーし!これから彼女と会

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深夜、無人のタクシー乗り場、そのベンチ。

深夜、無人のタクシー乗り場、そのベンチ。

深夜、無人のタクシー乗り場、そのベンチ。

1時間に2本しか電車が出ないこのまちで。
坂の途中にある駅舎のタクシー乗り場で。

ペプシの青いベンチにだらりともたれ、空を見る。

なぜここに?と思わざるを得ないアイスクリームの自販機。
多分使っているのは僕だけだと思う。一番右下の、ブドウのアイス。180円。小銭をパジャマに突っ込み毎晩課金。

寿命が目前の街灯がチカチカと振り絞る。
鈍い灯りに時代を

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なんでもない夜。コンビニ。

なんでもない夜。コンビニ。

「あお」

振り返ると彼女がいた。

「うちも行く」
「傘1本しかないよ」
「いいよ別に」

アパートの急な階段を落ちるように降り、通りに出る。
外は雨で、思ったより強く降っていた。僕は傘をさし、彼女はそこに入った。

真夜中、銀色のフープイヤリングが彼女の位置を示す。
肩まで伸びた髪。出会った頃は男みたいに短く刈り上げられていた。

風に合わせて傘の向きを変える。時折風は強く雨は横を向く。
彼女

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海、手紙、足湯

海、手紙、足湯

背景 拝啓

気づけば夏です。
最近は「地球"沸騰化"」なんて言われていますが、本当にそうで、電気代にビクビクしている日々です。

調子はどうですか。

新しい会社には慣れましたか。
こちらは相変わらずです。

最近は早く起きて、30分くらい走っています。

あなたも来たことがあるので今更、ですが、僕が住んでいるのは典型的な港町で、坂ばかりです。アパートを左に出て、坂を登って、国道まで駆け上がりま

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雨の夜、夜の海とダダダ。

雨の夜、夜の海とダダダ。

雨が降ると僕らは電気を消して風呂に入る。

いつもよりぬるめにお湯を張って、水着に着替えて風呂に入る。

風呂に入る前に家の電気を全て消す。
タイル張りの浴室でかわりばんこに体を洗って、夜の海、もとい、湯船に入る。

築50年のボロアパート。
天井はダダダ、と強く雨に打たれる。

僕の脚の間に彼女が座って、僕は手を自分の頭にやる。

「触ってもいいんだぞ」と彼女はニヒヒと笑う。多分、意地悪い顔をし

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