「金魚屋の徒然なる日常 御縁叶冬の邂逅」 第十四話 黒猫喫茶の店長、棗累
月曜日になり、俺は四限が終わるのを待っていた。梓川はコンピューター系の授業が充実していて、四限はコンピュータリテラシという、コンピュータの基礎知識を学ぶ必修科目だ。授業用ノートバソコンにテキストを表示させているが、読めば解る程度の内容でつまらない。教師の退屈な解説を聞き流し、右肩で泳いでいる二匹の金魚を観察する。
金魚になる夢は二匹が魂を食っているせいだと店長は言う。正直にいえば、そうだろうなとは思っていた。だが十九年以上の共生者には少なからず情があり、苦しむ原因だと判断