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名誉ある僕の死について

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初めて完結させた小説です。
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#失恋

駄文作文:  『名誉ある僕の死について』③

外に出ると、息が少し白かった。

もうこんな季節か。思ってはっとする。
あと何回こんなふうに思うんだろう。同じことを繰り返す愚痴はマリみたいで、少し嫌気が差しながら。
でも、本当に、あと何度こんな日を迎えるんだろう。年老いても一人だったら流石に嫌だな。

「って俺、センチか。」

近くのコーヒー屋の少し重めのガラス扉を開ける。
店内には2組しか見当たらない。最近来なくなっていたのでわからないが、開

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駄文作文:  『名誉ある僕の死について』④

駄文作文:  『名誉ある僕の死について』④

「予約してた秋元です。」
「アキモト様ですね。お連れ様はもういらしております。」
笑顔で通された先がまさかの個室で驚いていると、開けられた襖の奥には晃だけでなく健二もいた。

「どうしたんだよ、こんな店いつもとらないだろ。ていうか健二、久しぶり。面接とか調子どう?」
黒のダウンを脱ぎながら、問いかける。身体がいきなりの暖かさに驚いて、若干汗をかき始めていた。
晃は店員さんを呼び止めて、小さめの声で

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