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ラブ&ポップ@渋谷(青い田を刈る、Vol.2)

数年前になるが、村上龍の小説「ラブ&ポップ」の二回目を読んだとき、単純にすごい作家だなと思った。

主人公は、1996年当時のありふれた女子校生で、普通にパパ活をしている。

「パパ活」はもとより「援助交際」という言葉が日本に存在しなかった時代だ。

援助交際の実態系を正確に掴んだ日本の最初の作家だったかもしれない。

女子高生の目線で、渋谷109のエレベーターが自然に描かれ、当時のツタヤのレンタルの品揃え(その陳列の量までもが)すべて克明に、パシャリ。小説のなかに撮られている。

やはり当時は「これ以上に日本の新宿をリアルに浮き彫りにした作家は今のところ日本には村上龍を置いて他にいない」と絶賛だったようだ。

村上龍のコアなファンといえば、エヴァンゲリオンの総監督、庵野秀明だろう。当人の作品であるアニメシリーズ「エヴァンゲリオン」の三号機に載せられるのは鈴原冬至、これは村上龍の「愛と幻想のファシズム」の主人公の名前から取ってある。オマージュだろう。

庵野秀明監督は、渋谷を描こうとして、1996年の村上龍の小説「ラブ&ポップ」を原作とした映画「ラブ&ポップ」を1998年に製作をした。

あたりかハズレか、は観客の趣味になるが、庵野監督があまりにも村上龍に依存しすぎるのは、個人的には不快というより嫌悪を感じた。(ラブ&ポップなのにラストシーンでなぜプラグスーツを着た少女が? 当時は日本初の手法で撮った映画だったと話題だった気がする。デジタルエフェクトや効果などの細かい部分は僕はわからない。筋を見ての感想だ)

庵野秀明はガンダムの作者、富野由悠季とおなじで、一生、エヴァンゲリオンに取り憑かれていくのだろうか?

さて、僕の師匠は、記者から叩きあげの作家で、師匠が彼の記事を読んだらなんと思うか、わからない。取材にはそれぞれあるだろうから。

ちなみに村上龍は「ラブ&ポップ」の取材では、ホテルオークラの一室で50人の女子高生にインタビューをしたという。「ここまで脳みそがスカスカな人間がいるのだ」と後書きで言っている。

ぼくは、山田詠世さんの、下記の記事を読んだあと、

渋谷の「宮下公園」から「MIYASHITA PARK」変遷の歴史の記事をよんだ。

ぼくも渋谷版「ラブ&ポップ」を書こうとおもったとき、つまり渋谷を歩くひとびとのなかにじぶんを見つけたとき。

描き直そう。他者をいまの未熟なぼくが二元的に描くのではなく、

他者を一元的に、自分自身のこと(問題)としてとらえられたとき

彼と連絡をとって、取材(元記者である師匠を差しおくのはここではまた別問題で、取材の方法論として)のやりかたを教わろうかな。とおもったのである。

ぼくはこういう記事は好きだ。

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