800字日記/20221128mn/142「構想何年」
起きる。寒い。ニュースでいう寒気は明日からか。いま二日前の日記を書いている。写メはあるが室内のみ、記憶はない。メモ紙を見、ゴミ箱に抛っていく。
物干し竿は向こうにあるか? あけなこ(大分弁、ざっくばらんに)に、11:28ようやく起きる、疲れとれない、13秒で90秒の音楽、構想何年、希死念慮について、クリストファー・ノーラン、
昨日はシンギュラリティで簡単に書いた。疲れていた。レジュメも記憶もない。日記はかけない。
構想何年で書く。
僕が上京して初めて観た映画は渋谷パルコの八階で上映されたクリストファー・ノーラン監督の「メメント」だ。同時期に「CUBE」もやっていた。2001年。映画館はまだ健在だ。
上京したばかりの田舎青年が、モデルのようなモギリの娘に学生証を見せ、「え、」と顔を二度見され、目が合って心臓が止まるかと思った。その話はやめよう。
筋は「記憶が十分で消える男が殺人犯を追いかける」それも仕掛けがあって「物語は時間を遡っていく」21年が経ってクリストフアー・ノーランはまたおなじ映画を作った。映画史に残る「TENET」だ。
ここで村上春樹さんの言葉を借りる。
「どの作家もパラフレーズする。作家はおなじ作品のなかでおなじテーマを文章なり段落なり描写なりでくり返し(しつこいほど)展開する。作家人生を通して。作家ってそういう生き物ないんじゃないかな」
クリストファー・ノーランも尾田栄一郎も結局おなじテーマをちがう表現でくり返す。
田舎から上京して劇団に失敗し、まわりに誰もいなくなったあと、僕は真っ新な大学ノートに日本地図を描いた。記憶を辿ってざっくりと書くと、北海道はロシア軍に占拠され、愛知はトヨタが日本政府から買収、東北は英と仏と独の代理戦争(核実験)の場、四国は中国領土(工場)、九州にはレジスタンスが潜む、富士の頂からは宇宙に繋がる塔が、琵琶湖の湖底は監獄など。滅茶苦茶を描きたかった。
ぼくはいま書いている長編をふりかえる。
(800文字)
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