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800字日記/20221205mon/149「No one can get in my way! 」

腹をネコに踏まれて目覚める。朝七時。最近はいつもこの時間だ。体調はもち直した。昨晩が峠だった。

外の天気は曇り。部屋は寒い。ネコにカリカリを与え、また布団に寝転ぶ。体に燃え尽き感がのこる。毎日、長編小説を書きつづけるしんどさ。力を入れ、抜きどころ、体力、体調管理、身の丈に合ったテーマ、技倆、頁数、執筆期間、それらの計算。身に染みる。

が、自然の物理法則によく似ていると思う。ないものを人工的に書き始めるにはエネルギーを要する。玉(物語)は自ら動き始めない。かならず玉に働きかける外圧がある。さらに玉を押しつづけ長い期間をかけて大きくさせる。体力が必要だ。

長編小説を執筆することは、たったひとりで冬山に入って春まで、黙って雪だるまを作るそんな感覚だと思う。孤独な作業だ。長編小説は仕事として向いているひとと向いていないひとがいると思う。

小説を書くぼくらはみな小説が抱える根源的な問いと必ず向きあうことになる。
執筆中、ふと「いま自分が書いているこの小説は本当に新しい(面白い)のか? 」という恐ろしい問いに襲われる。
もし自分が本当に新しい小説を書いていたら、まわりにそんな小説をよんだ人間はいないはずだ。新たな文学は他者に簡単には理解されない。

自分の小説を他者に読まれて、共感されたその時点で自分はどこかの作品に似たものを書いていることになる。オリジナル作品は共感ではなく拒絶のなかにある。

これをファッションにたとえると表現者の孤独は分かりやすい。

エンタメに舵を切ってからこの孤独感はうすまった。少しだけだが。

デニス・ロッドマンの子供の頃の逸話を、ある小説で読んだ。彼はNBAプロバスケの元名プレイヤーで、漫画「スラムダンク」の桜木花道のモデルだ。不良少年だった彼は悪いことし不貞腐れると父にある言葉をなん度も叫ばされる。

No one can get in my way! 」訳せば

だれにも俺の邪魔はさせない!

執筆が乗ってきたときに(限って)風邪になる。そういうときに彼の父はこの言葉を叫べという。
(800文字)

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