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オーディション台本(2) / タイピング日記057

1520文字・45min


じつはオーディション用の台本は二つあった。
50回くらい読んでくると、感覚として
「なんだか…このセリフ回しって、別役実っぽいなぁ」と思ってきた。
録音をして聴き直した。
自分の声のチェックをしながら何度も聞き返しているうちに、
昨日は「浅野忠信風」でゆっくりと読み始めると、さらに場面の内容の輪郭が出来上がってくる。
台本⑴は登場は「男1」で「沈黙」がある。
台本⑵は登場は「男2」で「間」がある。

ん?

これってやっぱり……。
「男1」と「男2」のふたりの場面(掛け合いシーン)にもなり得るな。

これって不条理ナンセンス劇かなやっぱり……

★前回の「男1」がひとりごとで喋り「男2」が「男1」に語りかけているシチュエーションにも読める。
★男1に連絡(電話?)をした人間(おそらく女)が男2を追い出したとも読める。男1が出向いて不在だった謎のシーン(冒頭?)のヒキなのだろうが。

日本演劇界の不条理劇の第一人者といえばこの人だ。
別役実をググる。
ビンゴだった。(そもそも柄本明さんの東京乾電池は別役実作品をよく上演するので有名だが)

★次の記事で合わせてみようか。

別役 実


(べっちゃく みのる1937年4月6日-2020年3月3日)は、日本の劇作家、童話作家、評論家、随筆家である。サミュエル・ベケットの影響を受け、日本の不条理演劇を確立した第一人者である。日本芸術院会員。
早大在学中、安保闘争に参加、大学を中退。劇団「自由舞台」で上演した『象』で注目された。『マッチ売りの少女』(1966年)と『赤い鳥の居る風景』(1967年)で岸田戯曲賞、『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』(1987年)で芸術選奨文部大臣賞受賞。評論やエッセイ、童話も書く。

作風

幻想的で独創的な作風が特徴で、登場人物が「男 1」「男 2」など、固有の名前を持たないことが多い。舞台には必ずと言っていいほど一本の電信柱、あるいはそれに相当するような柱のようなものが立っている。電信柱は、別役が宮崎賢治のファンであることに由来しており、別役は宮沢賢治原作のアニメ映画『銀河鉄道の夜』の脚本も手がけている。

■となると、問題は、なぜ同じ脚本を一回解体して別々の脚本にして
「わざわざそれをオーディション者に配布したか?」だ。
意図があるはずだ。
⑴一人芝居を審査したいのか?
⑵二人芝居(掛け合い)を審査するためか?
⑶その両方を一度で観る(時短のため)に一つの脚本を解体したのか?

男 2 (手にもっているたぬきの置物)これ、落ちてたんですよ。

間。

男 2 捨てられてたんです。そこの、空き地に。

間。

男 2 今朝早くに、気が付いたら空き地をぼーっと眺めてまして。……すると隅っこに、これが。

間。

男 2 どうしてそんなに朝早く外にいたかっていうと、夜通し外にいたからなんです。同居人と喧嘩しちゃいまして。

少しの間。

男 2 同居人ていっても、もともと彼女の部屋にオレが居着いたわけだし、家賃も彼女が払ってるんで、閉め出されたというより、これが自然な状態と言わればそれまでなんですが……

少しの間。

男 2 こういうことはこれまでにも時々あって、でも今回はついに部屋に入れてもらえませんでした……そのまましばらくマンションの前にいたんですが、部屋の電気が消えるのを見て、あきらめたんです。

少しの間。

男 2 それで……これからどうしようかと、公園のベンチで休んでいたら、いつしかうたた寝をしちゃいまして。……目が覚めたのが、早朝だったんです。……とりあえず公園を出て、歩き始めました。歩きながら、考えたんです。……どうしてオレはいま、こういうことになっているのか……(考えている)……

間。

男2 じゃ。(会釈)


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