時を刻む。
妻と結婚して12年と半年程経った。
付き合いを始めた頃を含めたら14年も過ぎた事になる。
振り返ると想い出が次から次へと溢れてくる。
娘が生まれてもう6年半にもなるなんて信じられない。
入園式も七五三、
お食い初めやお宮参りも
まだ昨日の事の様だ。
月並みな言葉になってしまうが、
本当にあっという間だった。
先日、祖母が入院した。
誤嚥性肺炎だそうだ。
最近はもう私の事もはっきりとは認識していない。
朧げな記憶を手繰り寄せながら
遠い昔の話をしている。
最後にもう一度名前を呼んで微笑んで欲しかったな。
近しい人の老いは悲しい。
父親の小さくなった背中。
母親の遠い目。
誰もがいつまでも若くないんだと感じる。
時が過ぎ去るのは早い。
過ぎ去っていく時間は
掬い上げた両手の中の沢山の想い出と共に、
指の隙間から溢れて落ちていく。
子供達もあっという間に大きくなる。
あと何回、この胸で抱き締めてあげられるだろうか。
そう考えて布団に潜ると、
娘が寝惚けながら、
「おかえり、おとうさん」
と言って私に抱き着いた。
私の両手の下で、
するりと落ちる時間を受け止める
小さな手が見えた気がした。
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