マガジンのカバー画像

4歩歩いた先にコーヒーがある。

12
私と私の推しとの妄想。 仕事に疲弊しきった主人公菫とカフェの店長でアメリカ育ち巡のほのぼのした同棲生活。
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

花を贈る君が

花を贈る君が

※この話は「4歩歩いた先にコーヒーがある」の出会いとなる話です。

 花を贈る。それは現代こそ特別な意味合いを持つだろうが、昔では何のこともない、普通のことだった。ただきれいだから持ってきた。喜ぶだろうから買ってきた。君に似合うだろうから摘んできた。そうやって、人々の生活と花は密着していたのだ。

 俺が働くカフェの近くには、高校と大学でお世話になった先輩が働く花市場がある。その先輩は女性だが、男

もっとみる
4歩歩いた先にコーヒーがある 7

4歩歩いた先にコーヒーがある 7

 仕事をしていると、よく飲み会に誘われる。お酒は好きだしみんなで飲むのも好きだから行きたいとは思うものの、だいたいは仕入れの現場では元上司たちも一緒にいて、嫌なことを思い出したりもするから、部署を異動してからは私はほとんど会社全体での飲み会にも行っていなかった。

 そんなときだった。

「加藤さん!」

 書類を運んでいると、後ろから声をかけられた。振り向くとアルバイトで働いている男性が。飯塚君

もっとみる