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“もう一度見る”のもエンタメの醍醐味

好きな作品はもう一度見る、フリーライターのaoikaraです。

ちょうど今は『PRODUCE 101 JAPN SEASON2』というアイドルオーディション番組を、もう一度見ている。大勢の応募者の中から選ばれた101人の参加者を練習生と呼び、歌やダンスなどの課題を通して、最終的にデビュー11人を視聴者投票で選出するという番組。

応援し、投票する人たちを“国民プロデューサー”、通称“国プ”と呼ぶ。私も“国プ”として応援も投票もした。最終回にはリアルタイムで視聴し、選ばれた練習生を心から祝福し、選ばれなかった練習生を見て涙した。

放送が終わり、またもう一度最初から見ている。


すでに結果がわかっているのに、なぜもう一度見るのか。いや、結果がわかっているからこそ、見たい。

一度目に見たときは、全てが新しい情報で、それだけで刺激的で「次が見たい!」「結果が知りたい!」と思いながら次が待ちきれなくなる。

一方、展開や結果がわかっていながらもう一度見ると、一度目では見落としていたことが山ほどあって、「このときこの人はこんな風だったんだな」と改めて気づかされることが多い。なんだったら、二度でも三度でも見ることもある。


もう一度見るのはオーディション番組だけでなく、ドラマや映画、本なんかも。とある映画なんかは、「うわあ、最高じゃん!」と興奮して、見終わった直後にもう一度見始めたこともある。

全てを知っているからこそ、もう一度見返すと「ここが伏線なんだな」とか「俳優さんの演技が素晴らしいな」と改めて気づく。時間の経過があれば、自分の考え方も変わり、物語の捉え方が変わることもあるから面白い。

これがオーディション番組とかドキュメンタリーだとすると、意図したものではないのに伏線や物語が生まれている瞬間が見られるからぐっと来る。すごい瞬間を目撃してしまったと、そわそわしてしまう。


エンタメは結末や結果を知る、という楽しみ方も大いにある。ドラマや映画、オーディション番組、ドキュメンタリーなんかもそう。「結局どうなるの?」が知りたい。劇的なもので圧倒されるような楽しみ。

だけど違った楽しみ方もあって、過程だとか、日常や暮らしになじむようなものも、またエンタメで。音楽なんかまさにそうで、結果を知りたいわけじゃないし、日常や暮らしになじんで自分の中に入り込んでくる。

“もう一度見る”のも、過程を楽しみ、今を生きる姿に想いを馳せているような気がする。


とはいえ、“もう一度見る”は楽しいばかりでもない。「もう一度見たい」作品なんだけど、この後の展開が本当に苦しくなると知っているから、心がきゅっとして躊躇してしまって見られない、なんてこともある。思い出すだけで切なく、苦しくなるような。

まだ見ていないものなら「結末が知りたい」気持ちの方が強いから、こわいところにもこわいと知らず飛び込んでいける。でも、“もう一度見る”ではそうもいかず、なかなか飛び込めない。乗り越えた先に、見終えた充足感があるのを知っていても、立ち止まってしまうこともある。


これからどんどん新しいエンタメを知れば、その瞬間が楽しいのはもちろん、また“もう一度見る”楽しみもたくさん生まれていく。年を取れば、受け止め方も変わる。それもまた楽しく、面白い。

素晴らしい作品に出会うたびに、これから先の人生の楽しみが増えるのかと思うとたまらないね。エンタメってすごい。

2021年6月27日(日)

No.916

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