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らーめん定食(S.Kちゃん)

この記事は、2021年4月11日の教室の様子です。

先日、買い出しに行った画材店で、たまたま粘土工作のキットを見つけた。
粘土を細く切り分けられたり、製麺機みたいに押し出して遊べる工作キット。
僕は、こういう面白そうなものを見つけるとついつい買ってしまう。
買った後で、どうやって使おうかなって考えるんだ。
それでもまあ、子どもたちに人気のなかったものはみんな、押し入れの中へと眠っていくんだけど。笑


今日も元気いっぱいのSちゃんが来た。
教室に来るなり、Sちゃんは「粘土がしたい」だって。
ほら、タイミングはバッチリ。


これまで様々なミニチュア作品を手がけてきたSちゃん。

ハイチュウにソフトクリームに、奥歯まで。(奥歯!)
今日は、中華セットを作るんだって張り切っているよ。
(Sちゃんのこのユニークなインスピレーションはいつもどこから来るのだろうね)


「せんせい、お客さんになってね。わたしがラーメン作るからね。」

時刻は13時40分を過ぎた頃。外回りが長引いたサラリーマンがやっと一息ついて、中華料理屋の暖簾をくぐるような丁度いい時間だった。
僕はそんな空腹のサラリーマンの気分になりきって、Sちゃんに注文をしたよ。
「すみません。ラーメンください。」

「は〜い」とゴキゲンなSちゃんが注文を受けてくれる。
「ごいっしょに、チャーハンはいかがですか?」

「そうですね、お腹も空いているし、もらっちゃおうかな。」
Sちゃんがとても楽しそうにするものだから、ついつい餃子まで、僕は追加注文をしたよ。


さっそくSちゃんはラーメンを作り始める。
まずは紙粘土に絵の具で色をつけるところから。お手の物だ。
料理のイメージにピタリと合わせて混色をすることって、けっこう難しいことなんだけど。
ずいぶん紙粘土や絵の具と仲良くなれているみたいだ。

色がついた粘土を、買ってきたばかりの粘土キットで平たく伸ばす。
今度はそれを細長く切って、あっというまに中華麺をこしらえたよ。

麺を乾かしている間に、ラーメンのどんぶりを作り始める。
とっても手際が良くって見惚れちゃうくらいだ。
もしもご近所に、こんなに陽気なお嬢さんが働いてるいるラーメンがあれば、通っちゃうね。

固まったどんぶりに麺を入れたら、なんと贅沢にトッピングまでのせてくれるらしい。
ネギにタマゴにチャーシュー!どれもとても丁寧に作られている。
ここまで集中して作り上げたところで、少しだけ休憩をするらしい。
Sちゃんはおやつを食べて、気分転換に絵を描き始めた。


さて、サラリーマンの僕は、腕時計をチラッとみる。
もうすぐ15時をすぎるころ。

「すみませーん、すみませーん」
お絵描きにどっぷりと集中し、なかなか厨房に戻らないSちゃんに、僕はたまらず声をかけた。
「僕のラーメン、まだですか?」

そしたらSちゃんね、とびきりのすまなさそうな笑顔で、
「あ〜……えーと、ごめんなさ〜い、今日はもうおしまいです。お客さん、帰ってくださ〜い」だってさ。笑


Sちゃん、もう〜だなんてため息をつきながら(笑)、絵が一段落した後で、また定食作りに取り掛かってくれた。

チャーハンは紙粘土を細かい粒状にして、お米を表現したよ。
餃子は、本物と同じように、皮と餡とを別々で作り分けてから、丁寧に包んでくれた。
おうちでお手伝いでもした経験があるのかな。とても作り込まれていているね。

注文から、3時間ほどかけて出来上がったラーメン定食。
Sちゃんは「お待たせしました〜」と笑顔で提供してくれた。

お代はなんと「100円です」だって。いくらなんでも安すぎるよ。笑

Sちゃんの作品がとっても手の込んだ大きさだってことが伝わるように、100円硬貨を並べて写真を撮った。
とっても美味しいラーメンセット、ごちそうさまでした。

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