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ビー玉ころがし(K.Iくん)

この記事は、2021年3月28日の教室の様子です。


ここ数年で、子ども向けの習いごとの1つに、プログラミングという科目が定着してきた。
とても新世代的で、これからの時代を見据えている。とても面白い取り組みだと思う。

コンピューターに向かってコードを打ち込み、失敗を重ねながら修正を繰り返し、意図する動きに近づけていく。
自分が作ったものが動いたり、走ったりすることってすごく面白い。

子どもたちは日頃から、おもちゃの車や飛行機を、想像の世界の中で走らせている。そんな子どもたちにとって、自分の手から離れたものが勝手に走り出すとなれば、それはとてつもなく贅沢な遊びだ。

プログラミングの面白さを語ったついでに、もう少しだけ僕の話を聞いて欲しい。プログラミングにも負けていないくらい、とっても贅沢で、ものすごく面白い活動があるって話を。
それは、そう、工作だよ。

電子楽器よりも、まずはピアノ。
タブレットよりも、まずは絵本。
デジタル作画よりも、絵具。
そしてキーボード入力よりも、まずは鉛筆。

なにかとデジタルで溢れている現代社会だけれど、この地球に生まれたばかりの子どもたちにはまず、より原始的で、五感を刺激し育む活動から、触れ始めて欲しい。

目で見て、耳で聞いて、匂いを嗅いで、肌で触れる。
絵画や工作には、それら全ての大切なエッセンスが詰まっていると僕は考えているよ。





工作が大好きなK君。今日選んだのは、ダンボールで作るビー玉のピンボール。

まずは土台作りから。
丁寧に形を切り取る。ビー玉が転がる盤になる。

必要な材料は自分で切る。ハサミを使って。
ピンボールの仕切り版は割り箸を使うんだって。
ハサミで切っていくには骨が折れそうだ。
おおよそ30本は必要だけど、K君はやると決めたらやる男だからね。(笑)
根気強く、割り箸を何本も切っていったよ。

仕切リ板ができたら、ボンドで土台に張り合わせていく。
ダンボールの薄い側面を貼り合わせるのって大変だ。
長さが足りなかったり、ボンドが固定にされるまでに時間がかかったり。

当然、はみ出したボンドが手につく。ねちゃねちゃした指先がとっても気持ちが悪い。

次こそはボンドが指につかないように塗ろうとするんだけど、思うように固定されないダンボールを支えた拍子に、またはみ出したボンドが指にくっつくんだ。
その度に、あぁ〜もう!って思う。めんどうくさいなあ!って。笑


プログラミングの学習の中で、PCモニターに映されるコードに向かって四苦八苦することは、とても良い勉強になると思う。

思うんだけれど、それは、紙を等分に切り分けたり、金槌で指を打ったり、手の腹をカラーペンで汚したり、そういうふうに五感を使った苦労と経験を十分に重ねてからでもいいんじゃないかなって思うんだ。

コンピューターなら、コピー・アンド・ペーストで済んでしまうような工程を。
間違えてもUndo(アンドゥ)で簡単にやり直せるような手軽さが無い苦労を。
まず子どもたちには、実際にその肌で経験してほしい。


ビー玉が思うように転がらない。
爪楊枝で作ったピンが弱いせいだ。
発射装置がうまく作動しない。
輪ゴムの掛け方が甘いからだ。
ビー玉が盤から飛び跳ねて、棚の隙間に挟まってしまう。
もう!って呆れながら追いかける。
そうこうしているうちに、またボンドが外れるんだ。(笑)

試行錯誤を重ねて、修正を繰り返す。考えて考えて何度も作り直す。

プログラミングも、ニンテンドースイッチも、すっごくすっごく面白いんだろうけど。
まずは。
ビー玉が転がるっていう、ただそれだけの面白さを、現代の子どもたちには、もっともっと体験してほしいな。

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