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子供へのワークショップと文化的再生産

先週末から調子悪いなと思っていたら、今週は我が消化器官が絶賛反抗期。お願いだからちゃんと働いておくれ。

そんな中、絶対逃したくなかった子供たちへのワークショップの第1回目をやってきた。

テーマは「仕事について知る、考える」。今のエチオピアには失業者が多いのだけど、失業者を減らすだけでなく未来の失業者を予防することも大事、という想いからスタートした企画(相棒の話のときに出てきた会話はこれ用だった)。

子供の教育に熱心な職員さんがいる図書館(そもそも多分市で1つしかない)に企画を持ち込み、実現させてもらえた。私の知る限り普段その図書館に子供の姿はない。そこの職員さん、登録してる子供たちにわざわざ連絡して参加者集めてくれるの。凄い。

12~15歳くらいの子達を対象に、とお願いして今日開始15分前に図書館に行くと。

皆ちゃんといるよ…すご…と思ってしまった私、すっかりエチオピアリズム。以前やった大人相手のワークショップは1時間半待ったけどな?

ワークショップの内容はまた別で書くとして、2時間弱の内容を終えて感じたのは「多分皆めっちゃいいとこの子やな」。

まず服。清潔で穴があいていない。そして態度。よく人の話を聞くし騒ぎすぎない。ゲームをしたんだけど、飲みこみが早い。

ここで大学院時代に勉強した文化的再生産の話を思い出した。分かりやすく書いてあったこちらから引用。

社会階層の上層に属する子どもは、社会的な活動の場に適合的な文化資本を親から遺産相続し、高い職業的地位を達成することで、社会階層は継承、つまり、再生産されることになるのです。

もう少し砕くと、文化資本(学歴や資格)のある親の家庭には本がたくさんあったり、子供を文化的施設(図書館、博物館、美術館など)に連れていくモチベーションがあったり、ニュースについて家庭で話す機会があったりと、子供が自分のように社会的に高い地位に就ける可能性が上がる→社会階層の再生産、ということ。これは文化資本に焦点を当てているので文化的再生産(cultural reproduction)と呼ぶけど、社会階層の再生産は社会的再生産(social reproduction)と区別されるそう。

これを今回のワークショップに当てはめると、今日来た子供たちの親は

①図書館の存在を知っていた→文化的施設、知識への意識が高い

②何かイベントがあれば声がかかるように登録もしていた→子供若しくは自分のスキルアップへの意欲が高い

ことが推測される。親に学歴あると収入が高い仕事に就きやすいから、子供はいいものを着ている。子供の躾に熱心だから、人の話を聞ける。よく聞けるから、理解力もある。これも推測ですが。

だから、実は今回参加してくれた彼らは対象者ではないのだとも思う。このワークショップの目的は「将来の失業者を防ぐこと」。彼らが将来失業者になる可能性は相対的には低い(実際は大卒失業者も増えているけどそれは1回置いておく)。

ではもっと必要そうな子供たちに届けるには?学校、だろう。しかも公立の。お金がある家の子は、より質が高い教育をする(と思われている)私立にいく。公立学校で実施するなら、オフィスをちょっと巻き込んでレター書いてもらって(行政の力というやつである)、英語→アムハラ語翻訳できる人がいないだろうから(今回職員さんに手伝ってもらった)子供に伝わるアムハラ語を話す必要がある。

ちょっとちょっと進めていけたら、最高。

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