りなこ5

コスプレ撮影をやめた話(3)最終話

あおいです。もし前記事を見られていない場合は、コスプレをやめた話(1)からお読みください。

絵から学んだこと、それは『完成イメージを強く意識する』こと。そして絵の中のものすべてを『面で捉える』ことです。

前者は文字通り、作り上げた完成イメージを強く持つことです。完璧ではないにしても、背景、ポーズ、小道具、照明の程度、色彩など、完成イメージをもって軌道修正をしていくことが絵には求められます。一方、後者は見たままのものを一枚の面として捉え、模様のように面を構成していくということです。

絵の世界では面を書き加えられるので、好きな面は作り放題です。ただし写真は面を勝手に変えることはできません。Photoshopは一つの解かもしれませんが、写真がすきな人にとっては極力写真の中で済ませたいという人が大多数だと思います。だからこそシャッターを切る前に面を作り上げるというプロセスが写真には必要となってきます。(絵画ではそれをメイキングと呼びます。)

メイキングで重要となるのが絵画や建築デザインでよく使われるパース理論です。消失点とアイレベルをもとに面の構成を作っていきます。


写真:りなこさん (撮影:あおい)

VPが消失点で、それに向かって伸びている線がパースです。(※色彩遠近法で右側をかなり暗くしているため実際のVPとは少し異なっています。)濃い青ほど奥行きを感じさせ、黄色やアンバーのような色ほど距離が近いイメージを演出します。被写体から右に夕日のアンバーがあるので、そのアンバーに目線が誘導されるようになっています。ここに消失点をもたせることで立体感のある構造になっています。(余談ですがこの写真はスランプ前に気にせず撮ったら撮れたものなのですが、解説にもってこいだったので使用しました。)

完成イメージをもとに、撮影前や着替え中のロケハンでイメージに合ったパースを探します。背景パースをきめたら、次は細部の面を決めていきます。完成イメージやメッセージ性をもとに細部の面の流れを決めていきます。雲であれば、もこもことした模様。気なら木の葉の模様、被写体のポーズや服や風のなびく方向など、これらの面の流れが完成作品のメッセージ性に強く影響するため、撮影時には常に心がけるようにしています。

(余談その2ですが、上記の写真は面の動きが夕焼け方向に向かっているので空の壮大さは伝わってくるのですが、2次元っぽさが弱いですね。被写体の面の動きが少なく静的な印象です。)


よー清水先生『「キャラの背景」描き方教室』

この本が特に参考になりました。この表紙の絵も、風が雲の方からふわっと沸き立って全体的に風の流れを感じる面の流れになっています。本に詳しい解説もあるので、ぜひお手にとっていただくことをオススメします。

写真も絵画も同じ2次元で、いずれも面で捉えることができます。写真の方向性や感性は人それぞれ違うので全員のカメラマンには参考にならないかもしれませんが、コスプレ撮影をされている方々から「こういう考え方もあるんだな」と思っていただければ光栄です。


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