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プロジェクトマネジメントを学ぶ④(計画設計その2)

こんにちは。
あおはるです。

GWはまとまった時間が取れるので新しいことに挑戦。
勉強(インプット)したことを、ブログに書く(アウトプットする)ことで知識の定着を図るという試みです。

前回はプロジェクトにおける計画設計の中から、WBSとガント+RACIチャートを学びました。
前回はこちら。

今回は計画の後半戦。
コスト管理とリスク管理についてです。

今回の各用語の定義は日本PMO協会の言葉をお借りします。
例えや解釈にはあおはるの私見が含まれますのでご了承ください。

最後まで読んでいただければ幸いです。


コスト管理

前回は、目標に対して、「いつまでに誰が何をどうする」と完成するのかを計画するために、WBSとガント+RACIチャートを考えてみました。

コスト管理の観点では、「それっていつ何にどれくらいコストが掛かるのか?」を見立て、予算と実績を追っていきます。
計画の段階では予算(素材制作費や人員)の確保ですね。

会社によって異なるかもしれませんが、コスト管理シートは経営管理部門などが作っていることもあるかと思います。
ただ、いつ何にどれくらいコストが掛かっているという把握と、予算をオーバーしていないかどうかという観点はプロジェクトマネージャーにも必要です。
※この観点が欠けてしまうと、売上だけ意識して利益を把握できていないなんてことにもなりかねません。

さて、このコスト管理、ガントチャートにおいていつ何がというのが可視化されているので、それに必要な項目と金額を挙げていきます。
※以下の項目や金額は仮の値です。

参考情報20200504_


「いつ」も大事で、他のプロジェクトとあわせて月や四半期の支出が偏り過ぎないよう全体調整が行われることも多々あります。

いちおう見積もりのHowとして、類似プロジェクト見積もりとかあるのですが、だいたい素材か人件費ですので、活動内容が明確化されれば機械的に算出していけます。

とはいえ、初期計画の段階ですべての活動内容を網羅的に完璧に抑えることは難しいため、プロジェクトの進捗と共に半期に一度見直しを掛けるなど調整をしていきます。

リスク管理

次にリスク管理です。
今から未来の目標達成における工程において、不確定要素を洗い出し、事前に対応策を定めておくことを指します。

参考情報20200504_2

驚異のリスクと好機のリスク

リスクというとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、本項ではポジティブな要素も取り扱います。

不確定要素管理としておいた方が言葉のイメージに合うかもしれません。

本項では「脅威のリスク」と「好機のリスク」と称されておりまして、脅威は文字通りですが、好機とは以下のようなもの。

・想定よりも早く技術検証が完了した
・過去の資産を活用することで一部プログラムが新規開発不要となった

いやいや、そんな都合のいいこと現実には起こらんと思われるかもしれませんので、もう少し身近な例を挙げてみますと、

例えば、作業内容やワークフローや会議体などを見直す取り組み。
当初の想定よりも開発精度や速度を上げる試みですので、好機のリスクに該当します。
値下げ交渉なんかもそうです。コストが想定より安く済むというのは好機のリスクです。

要は計画に対して、下振れる要素だけではなく、上振れる要素も考えてみましょうという話でして、言葉は初耳でも、好機のリスク管理は意外と身近に行われています。
これ考えるとワクワクできるので、結構楽しい時間です。



優先順位の付け方
さて、リスクを挙げてくださいというと、大なり小なり様々な事項が挙げられると思いますが、全てに対して備えておこうとすると莫大な時間も労力も掛かってしまいます

そこで、優先順位を決めるために、それぞれ定性的に挙げていただいたリスクを、以下の表のように、発生確率と影響度のマトリクスで振り分けることで定量化します。

参考情報20200504_3

縦軸と横軸にそれぞれ高中低でポイントを割り振り掛け算をします。
この区分の中から、何ポイント以上は対応をすると決め、リスク管理表を作成します。


リスク管理表の項目

リスク管理表は、以下の区分に分けて考えてみます。

1. 対応前のリスクの洗い出し(いつ頃、何に影響するのか)
2. 対応策と対応後の状態(誰がどう対応するかと、リスクはどうなるのか)
3. リスク対応後に残る、または新たに発生するリスク

参考情報20200504_4

リスクに対して取れる選択肢(※上記でいう対応策の対応区分)は以下のようなものがあります。

脅威のリスクに対して
・回避
・転嫁(保険)
・軽減
・受容

要は、まるっと回避できる、または損失に対する保険を掛けておくことができるか、もしくは軽減していくか、受容(何もしない)か、といった方針ですが、脅威のリスクに対しては多くの場合、「軽減」という方針になります。
一度で解決できない場合は、二度三度と繰り返し対策を打ち、リスクが前述に定めたポイントの閾値を下回るまで繰り返す、というのが基本概念です。

なお、好機のリスクに対しては、以下の区分があります。
・活用(好機が発生するよう不確実性を取り除く)
・共有(好機をとらえる能力が高い第三者に権限を割り当てる)
・強化(好機の発生確率を増加させる)
・受容

なお、いずれにも「受容」、つまり何もしないという選択肢がありますが、これは「リスク発生まで事前に何も対策は打たないが、いざリスクが発生した際に必要となる対応、時間、コストを算出しておく」という考え方です。

例えば、契約書の締結や、損害発生時に対して資金を確保しておくといった考え方や、納期に対してバッファを用意しておくというのもリスク管理の一つです。

計画のまとめ(言語化と可視化の重要性)

さて、2回に渡り計画設計について学んできました。

計画を立てるにあたって、ざっくりまとめると以下になりますが、

・いつまでに誰が何をどうするのか
→WBSとガント+RACIチャート
・それはいつ何にどれくらいのコストが掛かるのか
→コスト管理
・どのような不確定要素があって、どう対策する想定なのか
→リスク管理

大切なのは概念的な理解だと考えています。
WBSやガントや管理表はあくまでも手段なので、要点としてプロジェクトを管理するためには何を抑えておかなければならないのかが重要です。

なんでこんなに面倒なことをするのかというと、プロジェクトには利害関係者が多数存在するためです。

個人の目標であれば頭の中に思い描くだけでもうまくいく場合がありますが、プロジェクトとして複数の人が携わる場合、プロジェクトマネージャーは周囲に説明する責任が生じます。

頭の中に描いている状態を説明するというのは、言うは易く行うは難しなもの。インプットでわかったつもりになっても、アウトプットするとなかなか思う通りにできないものです。

プロジェクトはだいたいスムーズに進まないものですので、時には上からも現場からも責められることもあり、プロジェクトマネージャーは孤独になりがちです。

うまくいかないことの方が山ほどあると思います。

それでもやっぱりあるべき姿から曲げてはいけません
つらいですよね。


次回は、これまでに立てた目標や計画を実行していくフェーズ。
マヌーバリング(実行・修正)について学んでいきます。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。


次回はこちら




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