最近の記事

野蛮なハロー 2024.3.2

野蛮なハローのライブを観に盛岡へ。別用は無し。 去年演劇ユニットせのびの公演で知って以来、好きなバンド。「行きたかった」みたいなことを伝えるだけの応援では意味がないから、展示でも公演でも行けるときは行くことにしている(行けないときは情報拡散)。 ライブはとてもよかった。メンバーの演奏力があるからライブ向き。サポートメンバー?なのかな、素人にもわかるくらいにドラムの方が上手い。 全く知らなかったけど、ボーカルの小松くんは春から盛岡を離れるらしいのでなおさら来てよかった。 隣県

    • アベココア ワンマン2024.2.27

      宮城(ってプロフィールに書いてあったから仙台じゃなく宮城)で活動しているシンガーソングライター、アベココアのワンマンを観た。 路上での弾き語りを観てその存在を知り、手売りのチケットを買ったのは3日前のこと。三谷幸喜のオデッサを観劇した帰り道、仙台駅に向かうアーケードで彼女は歌っていた。 音は「聞こえてしまう」ものだから、どこに向けて出してるのかわからないような独りよがりな音が路上で聴こえたら僕は心の耳を塞いでしまうのだけど、彼女の声は壁打ちではなく、宛もない空中に放たれたも

      • ノアの泥船

        盛岡劇場で八時の芝居小屋観劇。今日はこれを観に宮城から来ました。そういう客もいるんです。 お目当ては、とうほく学生演劇祭2023にて大賞・演技賞を受賞したというどろぶねの「ノアの泥船」。作・出演の渡邉さんの一人芝居。せのびの「park」への出演以来、注目しています。 ネタバレ気味になりますが、観た人と作者にわかる感想を書きますね。 明日の体育で発表しなくてはいけないダンスを徹夜で練習する学生。やらなくてはいけないからやってるけど、超客観的に見たらこれは何なんだろうという時

        • せのびして届く場所

          演劇ユニットせのびの公演は、第2回公演から全て観ている。第1回公演の作品は再演を観た。当初から良いと感じたところは変わっていない。ストーリーで進める作品ではないし、主義主張のある作風でもないので、「わからない」とか「何を言いたいのか」と言われがちなのも変わっていない。 そんなものなくたってよくて、作品を通して観客の中の何かしら感情が動いたり記憶が呼び起こされたり、それで十分。と僕は思っているし、彼らの作品の方向性はそういうものだと思っている。人に薦めるときにも説明が難しく、結

        野蛮なハロー 2024.3.2

          Home,sweet home.

          演劇ユニットせのび「Home,sweet home」。 今春3つのコンクールでファイナリストとなり、関東での上演が続いたせのびの、久しぶりの盛岡公演。 コンクールの審査もある中、自分たちのスタイルで、はじめましての関東の人にも伝わるものを短期間で作ることはハードな経験だったはず。そのあとの本公演一発目が、大きなホールでキャストの多い作品とあれば、ある種、これまでの集大成であり、新生せのびのスタートになるのだろうと想像した。これから長く追うファンも、これっきりで観ない人も、ど

          Home,sweet home.

          かながわ短編演劇コンペティション 演劇ユニットせのび「レーン」

          先日の下北沢での若手演出家コンクールに続いて関東遠征。 応援している劇団の活躍の場が広がることは嬉しいけど、滅多に来ない東京。あ、ひとくくりにしちゃってすみません。今日は神奈川。神奈川さん。 さて「レーン」は前作「アーバン」と共通するテーマもありながらの新作。せのびの作品は、登場人物と同じような感情や体験への共感と言うよりは、何かをきっかけに記憶を呼び起こすような「共鳴」が重要な要素だと感じています。 前作「アーバン」では、2011年1月の箱根駅伝の話をしてみたり、やや地方

          かながわ短編演劇コンペティション 演劇ユニットせのび「レーン」

          劇団やどりぎ 旗揚げ公演

          2022年12月24日、いつも観ている演劇ユニットせのびの公演と併せて、劇団やどりぎの旗揚げ公演があった。 やどりぎというネーミングがどういう意図でつけられたかはわからないが、ヤドリギはクリスマスに飾る植物でもあり、その名を冠した劇団がクリスマスに旗揚げする事実だけで十分に素敵な出来事だ。 やどりぎの脚本、演出を手掛ける渡邉さんのことは、せのびの前作「パーク」で役者として知った。鳩のポポ郎役をチャーミングにパーフェクトに(これは主観だけど、パーフェクトと言いたい)演じていて

          劇団やどりぎ 旗揚げ公演

          作ると退屈

          「演劇ユニットせのび」のファンで彼らの公演には必ず足を運んでいるが、演劇ファンは名乗れない。あまりにも他を観ていない。 今年はたまたまいくつか他劇団の作品を観たので、少しだけ感じたことを書こうと思う。 批評的に語るのは良くない気がして、特に面白かったもの以外はSNSやアンケートでコメントをしないようにしていたのだが、ノーコメントとした作品はどれも共通して「知らない誰かの出来事」に感じられた。メタ表現の有無やファンタジーかどうかに関わらず、その作品世界がこの世界とどこかで繋がっ

          作ると退屈

          カモのコテン 青葉のコトン

          落語作家ナツノカモさんと、劇作家村田青葉くんの「“展示”二人会」を企画した。 数年前、カモさんの「着物を脱いだ渡り鳥」のWeb連載を読んですぐ、カモさんに「いつか必ず盛岡にお招きします」と連絡したのが始まり。盛岡に、と言ったのは、当時盛岡で暮らしていたからだけではなく、当初から「青葉くんとの二人会」をイメージしていたためだ。連載を読んだ時点ではカモさんの噺も何かしらの表現も観たことがなかったが、二人には共鳴する部分があるはずだと直感した。 詳しくはカモさんの著書を読んでいただ

          カモのコテン 青葉のコトン

          sakura o o o

          演劇ユニットせのび「sakura o o o」鑑賞。チェーホフの「桜の園」から子音を取ってシーンを取ってsakura o o o。 最近の青葉くんは役者自身のエピソードから着想を得る作り方をしていて、今回もその手法。あやこさんのロシアのエピソードが先にあって、春だし「桜の園」か?みたいな順番だろうか。それぞれの役者個人の良さと人となりが出るシーンを、時折「桜の園」を差し込みながら並べていくが、明確な関連づけはしていない(演劇っぽさ、みたいなものとせのびの対比にはなってる)。

          sakura o o o

          フェニックスプロジェクト第3期

          仙台でのリーディング公演を観てきました。震災から10年で若い世代の劇作家たちが感じたことをテーマに創った脚本のリーディング。観たのは演劇ユニットせのび・村田青葉くんの「to」と三桜OG劇団ブルーマー・くまがいみさきさんの「上空より愛を込めて」の2本。 大きめな枠の創作課題でしたが、2作品はどちらも「記憶」を軸にしていて、「忘れない」でも「忘れよう」でもなく、忘れることが悲しくネガティブなわけでもなく、ややポジティブな記憶の揺らぎを、青葉くんは私小説的に、くまがいさんはSFエ

          フェニックスプロジェクト第3期

          「セミとケンタウルス/せをのばす」

          演劇ユニットせのび「セミとケンタウルス/せをのばす」観ました。 全員で写る告知ビジュアルや「せをのばす」のタイトルから当然感じられる、ここまでの集大成とこれからへの決意表明のような雰囲気を期待し過ぎないように期待して観劇しました。 まず、「セミ」。石橋奈那子ちゃんと新沼温斗くんの2人芝居。温斗くんは過去出演作ではある種無色な「若い男の子」としての存在で、役者としての色は見えていなかったのですが、今作は一変。村田青葉の作り出す屁理屈芝居をやるなら最適な役者さんだと思いました

          「セミとケンタウルス/せをのばす」

          @Morioka(僕=村田青葉≒髙橋響子の場合)

          劇団「イチニノ」の盛岡公演に併せて上演された演劇ユニットせのびの『@Morioka(僕=村田青葉の場合)』を観劇しました。2020年に上演された作品ですが、今回は村田青葉役を髙橋響子が演じるというもの。 この作品は青葉くんの当時の心境や彼らしい熱量のある理屈がセリフとなっていて、彼に染み付いた日常が舞台でしたので、青葉くんが演じるべくして作られたもののはず。それを他者が、しかも異性が演じることは、想像以上の難しさがあったのではないかと思います。 役者が「そこにいる個人」に

          @Morioka(僕=村田青葉≒髙橋響子の場合)

          ホテルスタージーン「柔らかい牛たち」(鑑賞後)

          まずは、前投稿を。 観てきました。3人それぞれが初見の人は驚く(もしくは捉えきれない)であろう技量を持っていて、彼らの表現を観たことがない人にこそ観てほしいと感じました。僕は観慣れているばかりに「うまいな」「らしいな」という、やや批評的、分析的な感想になってしまうことがもったいなくすら感じます。 前投稿を踏まえての結論。彼らは彼らの創作をすることが最も大事で、もっと彼らが世に知られてほしいとファンの僕が思うのならば、彼らに働きかけるのではなく、僕が僕自身の表現や感性の信頼

          ホテルスタージーン「柔らかい牛たち」(鑑賞後)

          ホテルスタージーン「柔らかい牛たち」(鑑賞前)

          盛岡の演出家・劇作家・役者の村田青葉くん、ダンサー・振付家・獣医師の山手清加さん、ジャグラー・ダンサーの山村佑理くんが結成したユニット「ホテルスタージーン」の「柔らかい牛たち」を観に行きます。 彼らとは友人関係にありますが、彼らの創作活動をリスペクトしていますし、何より僕はわりと熱心な彼らのファンです。過去それぞれの組み合わせによる作品も観てきたので、ファン(観客)としては3人での作品はどのようなパワーバランスで創られるのか、これまで劇作家・演出家の順での表記が多かった青葉

          ホテルスタージーン「柔らかい牛たち」(鑑賞前)

          2019.8 村田青葉作・演出「ツーカー」転記

          当時、Facebookに投稿したものを転記する *** 村田青葉作・演出の「ツーカー」前半編と、リクリエーション後の後半編を観劇。 「つぅことだ」「そうかぁ」が語源とも言われる「つうかあの仲」。同時性があり、必ずしも伝達を必要としない「阿吽の呼吸」とは異なり、ツーカーは伝達。発信と受信で成立する。 冒頭、男(早川くん)、と女(山手さん)が食事をする。会話はそれほど噛み合ってはいない。食後、男が立ち上がりティッシュを取りに行くと女が「どうしてわかったの?」と聞く。男はヘ

          2019.8 村田青葉作・演出「ツーカー」転記