sakura o o o

演劇ユニットせのび「sakura o o o」鑑賞。チェーホフの「桜の園」から子音を取ってシーンを取ってsakura o o o。

最近の青葉くんは役者自身のエピソードから着想を得る作り方をしていて、今回もその手法。あやこさんのロシアのエピソードが先にあって、春だし「桜の園」か?みたいな順番だろうか。それぞれの役者個人の良さと人となりが出るシーンを、時折「桜の園」を差し込みながら並べていくが、明確な関連づけはしていない(演劇っぽさ、みたいなものとせのびの対比にはなってる)。ひとつ流れがあるとすれば、大学生の彼らの「どうしてここにいて、これからどうなっていくんだろう」という気持ち。普遍的な若者の悩みに、役者という特殊性も絡む。

キャストはみんなそれぞれに独特の空気をまとっていて、別のリズムで動いている。そもそもの個性があまり重なっていない印象。人間関係も、演劇も、それが重ならなければうまくいかないわけではない。ラストシーンでは、終始デフォルトで踊ってた感があるあやこさんを起点にななこちゃん以外の4人が同じ動きを始め、ななこちゃんもそのリズムに巻き込まれていく。ラストではみんなのリズムや空気は重なっている。あのシーン(や他の全てのシーン)をしっかり分析することもできるのかもしれないけど、意味なんてどうでもいい。やりたくてやっていることに、みんながやりたくて混ざっていく。楽しさの先に希望も見えてくるんじゃない?くらいの軽やかさ。みんなが小さなカバンを持っていたのは、チェーホフの台本入れの意味合いだけだろうか?旅立ちの予感の中、小さなカバンでも平気だったり、そんなに遠くに離れるわけじゃなかったり、そういう意味もあるのかもしれない。

流れるものは2作目の「どこかの国のアリス」に通じる部分もあった気がした。アリスのラストは、軽やかさはなかった記憶がある。実は内容は全然覚えていないんだけど、アンケートに「夢や希望なんて後ろポケットに入れて進めるようになる」みたいなことを書いた記憶だけはある。せのびがあの頃より大人になり、経験と技量と責任を増しながらも、軽やかになった。

余談(?)で。みずきくんが魅力的でした。例えばコントをやっても初見の人が構えずに笑うはず。こればかりは天性のもの。ご活躍に期待します。

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