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【童貞妄想小説】ボクもあのコの夢を見た–伊藤沙莉編


8時間のバイトが終わった。インスタをおもむろに見ると、男女グループや彼氏彼女同士で楽しんでいるストーリーがたくさん流れてきた。僕はせかせかと労働していたのに。あー煮詰まる。妄想の世界へ逃げなければ。現実逃避は最強で最高だ!逃げろ妄想の世界へ!今回、僕の脳内で好き放題されるヒロインは”伊藤沙莉”!

               

           ~妄想~

 

{今日も明大前19時集合ね!ちょっと相談したいことがあって!}

ラインを見ると、沙莉からいつものように連絡が来ていた。また恋愛相談か、、、はーっとため息をつき適当に返信をする

{りょーかい}

幼馴染の沙莉とは幼少期からずっと一緒だった。家が近所ということもあり家族ぐるみの付き合いというか、家族と同じぐらい一緒にいた。沙莉は負けず嫌いで、鬼ごっこをするにしても、ドッチボールをするにしても僕と競り合った。そして勝つといつも得意げな表情で笑い、負けると口をとがらせ、わかりやすい悔しがり方をした。感情を表に出すのが苦手な僕にとって紗莉のその豊かな表情が好きだった。

高校で別々になった。隣町の高校に通う沙莉とは通学時間が被らず、朝、顔を見合わせることはなくなった。さらに思春期特有のやつでなんだか照れ臭くなって、僕は沙莉を避けるようになっていった。

そんなこんなで高校卒業。僕は大学受験に合格して東京の私立大学に進学することが決まった。合格が決まり、だらだらしていたある日。母親からひと言「沙莉ちゃんも東京の大学行くらしいよ」僕はへーと興味なさそうに返事をした。

久しぶりに沙莉に連絡してみよっかな。けどラインしたの1年以上前だしな。あくまでも自然に。

{沙莉東京の大学行くって聞いたけど}

{そうそう!あんたは?}

{俺も東京}

{ほんとに!じゃあむこう行ったら定期的に会おうよ!友達いないから心細いし東京怖いし}

{いいね}

それからというもの、また幼馴染に戻った。吉祥寺に住んでる沙莉と仙川に住む僕がよく集まる場所は明大前の居酒屋だった。そこでいろんな話をした。酔って熱い話になると沙莉は子供のころと変わらない豊かな表情を見せてくれた。何も変わらない二人。けど、ただ一つだけ変わったことがあった。それは二人とも大人になったということ。




僕「相談って何?またどうせ恋愛相談でしょ」

沙莉「まあそんな気を早くしないでよ。とりあえずビール!」

またいつものように沙莉の恋愛トークが始まる。「どーやったら彼氏できるんだろ!」

僕「あー俺も彼女ほしいなー」

沙莉「じゃ―いっそのこと付き合っちゃう?」

僕「誰と?」

沙莉が俯き加減で言った「これ以上言わせないで。」

その表情は、僕が初めて見る沙莉の表情だった。


2022年 3月28日 サブカルクソ童貞大学生。

※僕が尊敬する山里亮太さん原作のドラマ『あのコの夢を見たんです。』をオマージュしました。アマプラで見られるので興味持った方はぜひ。僕は第三話の森七菜ちゃんの回がめっちゃ好きです。

※伊藤沙莉さんの出演作品では「ボクたちはみんな大人になれなかった」が好きです。ネトフリで見られるのでこちらもぜひ。



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