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セイシュンノカゼ

 3月といえば別れの季節。先週、近くの中学校で卒業式があったらしく、きらびやかな袴を着た女の子たちや、制服を着て別れを惜しむ男の子たちを見た。なんか青春っていう感じがした。

最近の僕といえば、取り立てて何をしているわけでもない。バイト行って帰って寝て、時々公園でボーとして。帰省しても散歩して、ドライブしてボーとして。二年後社会人になるという現実から目というか体ごと背いている春休み。なんか青春とその対極とのはざまで足踏みしている感じ。

この前いつものように公園でボーとしていたら、生ぬるく湿っぽい強い風が吹いた。その瞬間あることを思い出した。セイシュンノ、、、カゼ、、だ。


確か中学の卒業間近。僕の掃除班の担当は空中廊下だった。掃除が終わる頃、空中廊下の大きい窓から生ぬるく湿っぽい強い風が吹き抜けた。その瞬間、掃除班が一緒のある女の子が言った「セイシュンノカゼ!」「セイシュンノカゼ吹いたね!」

当時僕は、彼女が何を言っているのかわからなかった。セイシュンノ、、カゼ? なんでこの生ぬるく湿った強い風をセイシュンと形容するのか。僕は前髪をなおすその子にあいまいな返事をすることしかできなかった。


あの時と同じ風が吹いた。今ならわかる。あの時に思いをはせ感じるセイシュンノカゼは青春の風だった。あの瞬間あの子は青春を感じていた。僕なんか青春の外にいると思ってたけど、今思うと確かに、僕にもその時青春の風が吹いていた。


春特有の風を青春の風と表現をしたあの子も、この前短大を卒業して4月から社会人になるらしい。あ~みんな大人になってんだな。もう青春とか言ってられない年になってきたけど、、、。あと二年後、社会人になっても季節の変化を感じられる余裕を持っていたいよね。セイシュンノカゼが吹いたとき青春を思い出せられるように。

2022年 3月16日 サブカルクソ童貞大学生。

P.S.過去はついつい美化しがち。

今日の一曲  きのこ帝国-桜が咲く前に


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