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読書感想文を書きたい

小学生のわたしは読書感想文が大の得意だった。
高校時代はセンター試験(共通テストの前身)の現代文の成績は良く、答えなんて問題文の中に書いてあるじゃん。とか言うなんか嫌なやつだった。

いま思えば読書感想文は文章を書くのが得意なのではなく、先生が求める答えを指定図書の文中からいち早く見つけるのが得意なだけだった。
現代文は「作者の意図を答えなさい。」という曖昧な問題文から先に読み、出題文の該当箇所だけを流し読みして答えを抽出していた。せいぜい4択しかないんだから外しようがなかった。

そんなわたしの最近の趣味は読書だ。
YouTubeを見て、ゲームをして、漫画を読む、漫然な日々を続けていたら脳みそが消失してしまうんじゃないかと思ったから。
インスタントに楽しめる趣味に没頭するあまりに、気が付いたら文字を読む文化から、遠く離れた位置に何年もいた。


本を読みはじめて気が付いたことがある。
読み終わるスピードが早く、内容が頭に入っていない。
いまは綾辻行人さんの館シリーズを読んでいる。一風変わった館で殺人事件が起こり、館内の人間しか容疑者はいない...いわゆるクローズド・サークル設定の小説だ。すごくおもしろく、1週間のうちに3巻まで読み進めた。

すごくおもしろいのに、詳細まで思い出せないのだ。館内に何部屋あって、登場人物が何人いて、誰と誰に因縁があって..そんな物語の基礎とも言える部分を忠実に述べることが出来ない。
物語の”すごくおもしろい”という上澄みだけをすくって流し読みしてしまっていることに気が付いた。

先生と指定図書、問題文と出題文、それぞれを交互に見比べて適切な部分だけを抽出していく本の読み方が、大人になったいま、趣味を楽しむという点で自分を大きく邪魔している。
果たして本を読んだという実績を解除していくだけの行為に趣味としての意味があるのだろうか。

そんなこんなで先生も問題文もない、
大人な読書感想文を書ける人間になりたいと思った。
自分の感じたこと、強く心を動かされたこと、誰にも指示されずに。

でもこんなことを書いているいまも、
読書感想文を書きたいと思った理由を述べなさい。ともし問われているなら、良い点取れそうだなぁ、なんて思ってしまうので、まだまだ道のりは長そうだ。

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