見出し画像

カレンダー

昨晩ソファで寛いでいる時に、N(犬)の胸にしこりのようなものを発見したので、朝から動物病院に連れて行く。病院のサイトを見ると今日はM先生の受診日で、院長先生は休診とあった。
ちょうどいい。
うちの犬はいつもM先生が担当しているのだが、前回はM先生がお休みで急遽院長先生に診てもらった。すると餌の種類や薬の与え方にM先生と相違があり、迷ってしまったのだ。改めてM先生に相談したかった。

M先生は触診してすぐに、これは脂肪腫だから問題がないと言ってくれた。但しそれと別の腸の辺りに手で触れて分かるものがあり、これは前は無かったものだと言う。月末の検査の際に超音波も見た方が良いらしい。7月の検査で経過観察になった、腸に見えた黒い影が頭をよぎる。

次に薬の件について。
Nは今月分の抗がん剤を飲み終わって今日で5日目である。ちょうど副作用が出る頃でもあるから、朝晩の抗生剤と下痢止めは飲ませた方が良く、症状が落ち着いていても飲ませてほしいとのこと。強い薬だから下痢が収まれば止めたい心理が働くのだけど、それはしない方が良いらしい。

月末に検査の予約を入れて病室を出るとき、
「でも、Nちゃんが最初にこの病気の診断が出てもうすぐ1年ですね。」と
M先生が言った。
1年前の11月に診断が下った際に、この治療をすれば長く生きれますかと私が問うた時の答えが「1年やそれ以上生きる子もいます。Nちゃんは特に早期発見ですから。」であった。
そのことを多分私たちは同時に思い出していた。

私はそのM先生の声色に、手を尽くしてきたおかげでNが1年間生きられたという「満足」のようなニュアンスを感じてしまう。先生は注意深く診て下さり、沢山のアドバイスをしてくれる。とても感謝はしているし、今後も信頼してお任せするのだけれど、「それ以上」がもっと先に続いていくために、毎日寄り添っている側ではない。

頭を下げながら(まだずっと一緒にいたいです。この1年よりも、この先1日でも長くこの子の匂いを嗅ぎ、からまる毛に触れていたいです。)という想いを込め、「そうですね。もうすぐ1年です。」と笑って答えた。
Nは尻尾を振り先生の手を舐めたりして無邪気にしている。私は頭を撫でてやりながら、(まだ満足はしないし、これからだ。)と思った。

帰宅後、Rちゃんに校正を戻してから風呂釜の掃除に取り掛かった。
春からずっと湯船に湯を張らず、シャワーだけで過ごしてきた我が家。ここ数日の寒さで家族から口々にお風呂に入りたいと声が上がるので、重い腰を上げた。
久々に湯船にお湯を張り、洗浄粉を振り入れて一度追い炊きをする。その後8時間放置しなくてはいけないので、この間にカビ取りなどもする。

夕方になると部屋から墨色の雲が迫ってくるのが見えた。
お天気アプリを開くとこれから激しい雨模様になるとある。子供は学校帰りにジジババの家へ行っていたが、ちょうど帰る時間帯にこの雨にあいそうなので、ジジババ宅で待たせてもらうようお願いした。
やがて大粒の雨音が打ち付け始めて、しばらくぶりのゲリラ豪雨となった。
30分ほどで雨が小雨になったので連絡をすると、小ぶりになったのでこちらの家を出てもう着くと思うと言われた。ピンポンが鳴ったので玄関を開けると、ランドセル姿で蛸が入ったパックをそのまま手に持っているうちの子が立っていた。

何それ。貰って来るものが面白いねと笑いながら、一昨日たこ焼きをしたばかりだから今日はこれ使ってアヒージョにしようと考えた。
豚肩ロースに塩を振ってラップで巻いたのが冷蔵庫に入っている。もう4日目だから熟成も十分そうだし、今日は豚を焼いて、サラダとアヒージョでいいよね。

「それと今日は半年ぶりにお風呂に入れます。」
子供はうひょー!と言ってこぶしを突き上げた。

興味をもって下さり有難うございます!サポート頂けたら嬉しいです。 頂いたサポートは、執筆を勉強していく為や子供の書籍購入に使わせて頂きます。