リトルハウエル

ハリネズミの背中で
生活する生き物がいた
彼の名前はリトルハウエル

針のむしろに立って歌っている
どうやらそういうのが好きらしい
夜は針の隙間で眠りにつく

感情を吐き出していないと
やってられない生き物なのさ
針ってまるで感情
攻撃するための針もあるが
守るための針もある

そんな生き物どうしが出会ったら
たちまち血だらけになってしまうよ

こんなふたりだから
誤解しあうこともある
思い込みが激しくて
感情のままに行動してしまう

リトルハウエルは針の上に立ち
風に吹かれながら思い耽る

けんかしてお互い飛びだし
だけど隠れながらついていき
森の喫茶店に入ったら
みっつ離れた席に座ってる

抱きしめあうこともできないよ
こんなときだって
どうしたらいいか解らなくなる

ハリネズミの恋人どうしが
少しだけ離れて寄り添いあってる
リトルハウエルは歌いだす
ふたりのまんなかで
哀しく優しい愛のうたを