人生後半に大切なのは、家事力ではなくマネジメント力
人が最後まで「自分で暮らす」には何が必要か。
私の母は、86歳で青森で一人暮らしをしています。
4か月ぶりに実家へ帰省し感じたことについて、
書いてみたいと思います。
介護は「オペレーション」
「家と暮らし」相談アドバイザーをしていた時のお客様。
閑静な住宅街の立派な家。
50代の兄と妹、施設から時々帰ってくる高齢のお母様の3人暮らしでした。
相談は妹さんから、家のリフォームについてでした。
お母様は10年以上前から介護が必要な状態だった。
数年前に施設に入るまで、自宅介護をしていたそうです。
ご兄妹は二人とも未婚で、どちらも仕事がとても忙しく、
自宅介護は大変だったそうです。
特に、妹さんの負担は大きかった、と。
しかし、
「二人とも仕事をしてきたから、
母の(高額な)施設のお金もまかなえた。」
そして
「私も、仕事をしてきたから介護もできた。」
と言います。
生活が回るために、何が必要か?
どんな制度やサービスがあって、
どう組み立てるか。
「介護は“オペレーション”です。
“仕事のスキル”が生きました。
仕事を続けてきて、本当によかった。」と。
生活を維持するための「必要経費」
家事と仕事のスキルって、「別もの」ですよね。
もちろん、重なる部分はあります。
私の母は、「家事のスキル」はとても高かったと思います。
編み物や洋裁や料理が上手で、きれい好きでした。
しかし、86歳になった今、家事のほとんどが出来なくなってしまいました。
自分の生活が回るようにするには、どうすればよいのか。
庭木や雑草を刈ってもらったり、掃除をしてもらったり。
人に頼めば、お金がかかります。
その代金は、田舎ということもあり、私から見たら驚くほど安いです。
しかし、母は「高い」と嫌がります。
年金生活ということもありますが、
今まで自分でやってこれたこと、
「何かを買う」でもないのに、お金を払うことに抵抗があります。
また「楽しみ」にも、お金を払う感覚がありません。
母は今はもう、一日どこにも出かけず、家で過ごしています。
目も悪くなり、手先を使うことも出来なくなりました。
母にできることは、とても限られています。
せめてもと、本の好きだった母のために、
朗読アプリを母のスマホに入れました。
母は、気に入ってよく聞いています。
朗読アプリにお金が掛かっていることを、母は知りません。
知っていたら「いらない」と言うに決まっています。
なので、サブスクの代金は私が払っています。
生活を維持する
心と体を維持する
家事をアウトソーシングしたり、
楽しみにお金を掛けたりするのは、
「必要経費」です。
未来への「投資」
母がガラケーからスマホに変えたのは、83歳の時でした。
その5年前にガラケーが壊れ、
「スマホに変える?」という話になりましたが、
「高いから」とやめました。
80代になってから、いよいよスマホへ変えましたが、
適応できずに、3年たった今も本当に大変です。
スマホへ切り替えることは、
「この先」を考えれば、いち早くすべきでした。
未来への「投資」。
仕事だったら、当然の視点です。
生活は「マネジメント」
実家は広く、母は「もったいない」の人です。
母はモノを飾るのも好きで、
大量の情報(=モノ)が目に入ってきます。
情報整理はできません。
必要なものが取り出せない。
収納場所が分散し、把握できません。
管理能力を超えています。
何でもできるわけではなくなった今、
優先すべきは、生活がスムーズに回ること。
しかし、そんな優先順位付けもできません。
家事や家計のやりくりなど、主婦としては優秀だった母。
しかし、今必要と感じるのは「マネジメント力」です。
人は最後まで、自分の生活をマネジメントしなければいけません。
私たちの仕事で培ったスキルはきっと、
「これから」にも役立ちますね。
最後まで、人生をマネジメントする。
準備していきたいですね。
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