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本の話

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2021年2月の記事一覧

i (西加奈子)読んだ。

i (西加奈子)読んだ。

 西加奈子さんの小説を読むのは初めてだった。良い小説だった。

 この小説には普段僕がよく思うことが書かれてあった。
 例えば、ワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだとき、東北で地震が起きたとき、主人公は巻き込まれはしなかった。そして、「生き残ってしまった」「なんで私じゃないの」と感じてしまう。
 シリアで生まれてアメリカ人の父と日本人の母に養子として引き取られ、自分の代わりに引き取られなか

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2021年の始まり――ビラヴド

2021年の始まり――ビラヴド

(ハヤカワepi文庫さまに敬意を込めて)

 まずはじめに、一年のはじめにはハヤカワepi文庫を読まないといけない。そういう自分の中のルールあるいは慣例、もしくは習性のようなものがある。誰しもそうである。気づいていないだけで、右足から家を出る。そういう類の話だ。

 そして今年は、トニ・モリスン、『ビラウド』を読んだ。去年、ようやく増刷して、書店で入手することができるようになった。前々から読みたか

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