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Drive me Higher 02:さあね

~CONVERSATION 01~


「アカリさん、どうしてるかね?」

「アカリ? さあね」

「あんなにあっさり辞めちゃうと思わなかった」

「自業自得でしょ。もともと何の役にも立ってないし」


「確かにね~。あの人、何だったんだろ?」

「社長の愛人だったんじゃないの?」

「やっぱり? そうとしか考えられないよね」

「うわ~想像するだけでキモイ……」


「でも、マネージャーなら、せめてシフトの管理くらいしろよな」

「あんなになんにもできない女って、すごいよね。38でしょ?」

「上智だか慶應だか知らないけど、いい大学出てるんだよね」

「知らないよ。あーあの見下した態度、思い出すだけでムカつく」


「あの評価カウンセリングって、なんだったの?」

「自己満足でしょ。あたしたちのこと、バカだと思って」

「アドバイスも はぁ?って感じだったしねー」

「他のエステ行ったことある? とか言って、あるに決まってるよね」

「ウケる」


「あいつね、足クサイ」

「ぎゃははは、そうそう!」

「あたし、フットケアやらされたとき、吐きそうになったもん」

「どっから臭うんだろ」

「わかんない。中身が腐ってるんじゃないの?」

「ああいう人って、転職できんのかね?」

「興味ない」

「たしかに」

「あたしはちゃんと働いて、腕みがこ」

「そうそう」


「あーヤリたい」

「ちょっと…何言い出してんの?」

「たぶんカラダがそういうサイクル」

「相席居酒屋でも行けば?」

「あそこ、最悪。二度と行かない」

「アカリにばったり会ったりして」

「いそういそう、ウケる」


「あいつ、いっつもオトコオトコ言ってたもんね」

「白人の美少年が好きなんだよね。1Dのなんとか」

「そうそう、あーイタイ……」


「アカリって、リストラされたの気づいてるのかな?」

「気づいてないでしょ。私の都合で本当にすみません…とか言ってたし」

「しあわせだね」

「あぁはなりたくないけど」


「お、そろそろ戻らないと」

「あたしも」

(つづく)

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