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ゲーム要素の「押し」と「引き」

ゲームの構成要素は「押し」タイプと「引き」タイプがあります。

「押し」はユーザーを追い立てるような要素です。
別の言い方をすると「すべきこと」です。

「引き」はユーザーを引き付けるような要素です。
別の言い方をすると「したいこと」です。

「押し」と「引き」の2タイプの役割を理解し、適切に配分することでユーザー体験をコントロールすることができます。

「押し」タイプの要素

「押し」タイプの要素はユーザーを「追い立てる」ような、強制的に行動を実行させる要素です。

・制限時間
限られた時間の中で「すべき」行動を迫る仕組みです。
崩れる足場や床下から迫る溶岩、後方から追いかける巨大生物、
毒ガスによって狭まっていく行動範囲などがあります。

・敵
襲いかかる敵もまた「倒すべき」という行動を迫ります。
少し抽象化すると「対処すべき」となり、逃走も選択の内に入ります。

・シナリオミッション(シナリオクエスト)
シナリオを進めるためのミッションもタイプとしては「押し」になります。
シナリオを「進めたい」ユーザーは、そのためにミッションをクリア「すべき」状況に追い立てられます。
シナリオとリンクしているミッションは開発者がユーザーに強いているため「押し」タイプとなります。

「引き」タイプの要素


「引き」タイプは「したいこと」であり、ユーザーの欲求を促すものです。

・宝箱
宝箱とその中に入っているアイテムはユーザーの入手欲を刺激します。
単なるアイテムがそのまま置かれているより、宝箱を置いたほうが「何が入っているのか?」という期待を持たせることができます。

・隠された財宝
「このエリアのどこかに財宝が隠されている」という情報のみを与えることで探索欲を刺激します。
宝箱が短期的な影響力だとすると、こちらは長期的な影響力があります。

・空欄リスト
先に空っぽの枠組みだけ渡す仕組みです。
たとえば画面UI上に5つの点灯していない★マークがあるとして、
敵を倒すと★が1つ埋まるような仕組みです。
最初に欠落した状態を作ることでユーザーに「居心地の悪さ」と「渇望」を生み出し、いわゆるコンプ欲を刺激します。

「押し」と「引き」の組み合わせ


押し引きはそれぞれが単独で存在する場合もありますが、
ゲーム内では組み合わさっていることが多いです。

・魔物の巣窟にある財宝
遠目から見える輝かしく魅力的な財宝…しかし、その前には魔物の集団が待ち受けている。
宝箱という「引き」と敵という「押し」を組み合わせることで「葛藤」を生み出しています。
「葛藤」の末に決断した行為はユーザーの没入感を深めます。

上記の他にも、改めてゲームを分析すると「押し」と「引き」の組み合わせが見つかると思います。

まとめ


・ゲームの構成要素には「押し」と「引き」の2タイプがある
・「押し」は強制的な「すべき」こと
・「引き」は引き付ける「したい」こと
・「押し」と「引き」を組み合わせると「葛藤」を生む
・「葛藤」はユーザーの没入感を深める

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