あんてな

国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個…

あんてな

国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個人差がありますので、戯言ないしちょっとした呟き程度の取り扱いとして頂けますと。

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ゲームデザイン:人の心を動かす力

過去に投稿したこのような記事があります。 ゲーム要素の「押し」と「引き」|あんてな (note.com) ゲームには「押し」と「引き」の要素があり、それによってユーザーの体験(というより行動)をコントロールできる、と。 しかしながら、もしかしたら「押し」も「引き」も根本的には同じものかもしれない… というようなことを、ここ最近はずっとモヤモヤと考えていましたが『スターデューバレー』をプレイして答えが見えた気がします。 前回のおさらい自分が書いた過去の投稿を読み返して

    • レベルデザイン、でもその前に(3)レベル進行の2つのパターン

      Valveのドキュメントハーフライフやポータル、steamの運営で有名なValve社は優れたゲーム会社でもあり、ゲーム製作やレベルデザインについてまとめたコミュニティページを持っています。 多種多様な記事が用意されていますが、レベルデザインに関して興味深いのはレベル進行とそれにあわせた構造を紹介した2つの記事です。 バウンスとループ。バウンスはボールが地面や壁にぶつかってはずむように「行って、同じ道を戻る構造」で、ループは「スタート地点とゴール地点が同一の場所である構造

      • ウィッチャー3のクエストはなぜ優れているのか

        なぜこの記事を書こうと思ったのか24/09/09頃、SNSの一部では「ゲームに水増しのためのサブクエストは不要なのでは」といった話題で盛り上がっていました。 前提として「なぜ水増しと感じるのか」「メインクエストとサブクエストの役割の違いとはなにか(またはあるのか)」「可処分時間とその割り当てはユーザーによって異なる」といった考慮・解決すべき要素があるように感じられますが、そこは論じません。 興味があったのは多くのユーザーが「水増しはもういらない」と感じていることです。か

        • レベルデザイン、でもその前に(2)パスの話

          レベルデザインの「パス」に注目したい レベルデザインについて語られるとき、誘導や敵配置については多く語られるものの、レベルの構造自体についてはあまり論じられていない印象です。 今回はもっとも基礎だと考えられる「パス(経路)」に注目してみたいと思います。 レベルデザイン、その一部としての「パス」レベルデザインは多様な要素を含みますが、単純に言えば「移動のデザイン」です。 「移動のデザイン」とは「ユーザーがプレイヤーキャラクターを目的地に移動させたくなる、楽しく移動させら

        • 固定された記事

        ゲームデザイン:人の心を動かす力

          TUNIC感想ログ

          ゲーム『TUNIC』をプレイして考えたことをプレイ毎にログとして残します。 おそらくネタバレ全開です。 1日目Death'sDoorを思い出す 色味が若干キツいというか、ゲーム内のデジタル世界っぽさがある 最初の黄色いタイルが気になるけど、あえて乗らない 敵が気になるけど、あえて無視して奥を目指す 扉アクセス後、謎空間へ 透明床をそのまま進めたけれど、なんで進めたんだろう 門があって床があって、それが途中で崩れていて、 そこを進むしかない構造だから? お母さん

          TUNIC感想ログ

          レベルデザイン、でもその前に(1)

          ※続けようと思っているので(1)とつけています レベルデザインをするにあたり、様々なテクニックやセオリーが存在すると思いますが…設計を開始する前の「アイデアのタネ」について考えてみました。 なお、本記事は以下の内容を含みません。 レベルデザインとはなにか よりよいレベルデザインをどう作るか 「レベル」については「プレイヤーキャラが存在し、活動する空間」程度の意味で扱っています。 屋内と屋外古城の中の探検、オアシスを求めて彷徨う砂漠など、レベルには「屋内と屋外」の2

          レベルデザイン、でもその前に(1)

          アイデア:3つの発想力

          仕事で重要なのは「問題解決力」だと言われます。 言い換えれば仕事とは「問題を解決すること」です。 問題があり、それを解決するから給料が支払われる。 解決できるから、人に頼られたり、立場が向上していく。 では、どうやって問題を解決するのでしょうか? 問題を解決するために使われる能力が「アイデア」、「発想力」です。 答えの見えている仕事であれば労力や時間で対応できますが、答えが見えていない場合は頭を使って考えます。 問題とは「答えの見えていない状況」であり、いたずらに

          アイデア:3つの発想力

          「楽しい」が生み出すモノ

          最近、開発現場で「楽しい」と「面白い」という言葉の価値が下がっていると感じます。 重要性が減少した、という意味ではありません。 ゲームデザインについての記事や言及が増えたことで、具体性を欠いた「楽しい」「面白い」という表現は判断基準の曖昧さの象徴として忌避されたり、冷笑される対象に変わってきたのかもしれません。(被害妄想ですね) 「それって結局どういう意味なんですか?」 「で、何が楽しいんです?」 「その楽しさってなんですか?」 質問に対してスルーするわけにもいかず、

          「楽しい」が生み出すモノ

          カメラに対するキャラクターの進行方向、配置

          2Dプラットフォーマーでキャラクターはなぜ左から右へ移動するのか? 横スクロールシューティングはなぜ左から右へと進行するのか? JRPGのバトルはなぜ主人公たちが左側で、敵が右側に配置されるのか? …といったように、ゲームの歴史では「キャラクターの進行方向」や「カメラの向き」「キャラクターの配置位置」について共通点があります。 法律ではなく、それぞれの開発者が自分の考えに基づいてゲームをデザインしてきたはずですが、皆が暗黙の了解として同じ作り方を踏襲している。 それはな

          カメラに対するキャラクターの進行方向、配置

          ゲームデザイン:それはそれ、これはこれ

          日々ストレス※ここから先はフィクションです 先日、仕事でイラっとすることがありました。 上司のミスにより、終了したタスクが無駄だったと分かったのです。 「ごめん、別の仕様が更新されたの忘れてて」 追い打ちをかけるように、部下のミスが発覚しました。 「なんか変だとは思ったんですけど、まあ大丈夫かなって」 たまったストレスをぶつける相手もなく、これはお菓子に頼るしかない… 今日はコンビニで少し高いけど美味しいデザートを買おう。 はあ、癒やされた。 イヤなことがあった

          ゲームデザイン:それはそれ、これはこれ

          実録(嘘)ゲームの企画書の作り方

          実録(嘘)と書いてある通り、与太話です。 過去にゲームの企画書を作る機会があったのですが、その時に学んだ考え方を虚実混ぜつつ紹介します。 これで明日から企画書が書けるようになりますよ、というものではなく「そういう考えもあるんですね」程度の内容なのでさらっとお読みください。 私自身もこの考え方を守ってるわけではないですが、思い返すようにはしています。 企画書を作れ!「社内プランナーの企画力が低下している」 そう嘆いた上層部はプランナーの企画力の向上のために【企画書作り

          実録(嘘)ゲームの企画書の作り方

          MDAフレームワークのリンクを集めてみた

          このところ(24年5月)ゲームのメカニクスについての論争があり、その中で「MDAフレームワークに刮目せよ」という意見が…あるようでなかったのですが、ちゃんと理解できていないなあと思ったのでひとまずリンクをベタベタと貼り付けることにしてみました。 とくに分析もできておらず、本当にメモとしての列挙です。 皆さん普通に扱えていてすごいなあ…という思いと、今更無知が露呈するのは恥ずかしい…という思いが交差しますが、それもまた人生ですね。 ゲーム開発で恥を恐れるのは成長機会の散逸

          MDAフレームワークのリンクを集めてみた

          ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

          X上でつぶやいた内容のリンクです。 ログ化しないと、流れてしまってもったいないので… 最後にまとめを書いているので、そちらだけ読むほうが分かりやすいかもしれません。 とはいえ、所詮メモですが… 結論がボヤけていたので先にまとめます。 「やらされてる感」は「主体性が無い状態で強制的にゲームプレイを継続している時」に発生する感情です。 主体性は「自分の意思」あるいは「自由意思」と言い換えてもいいですね。 「主体性が無い」状態は「ゲームの仕組みにより奪われた」場合と「ゲーム

          ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

          ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

          ゲーム開発は楽しいときもあればしんどい時もあり、多くの時間はしんどい気もしますが、やはり楽しい時もあり…というように、結構な時間をしんどく過ごします。 しんどさのほとんどはメンタルに来ますが、その中でも強烈なのが「黒い星」です。 …造語なので、世間一般で通用する言葉ではありません。 私は仕事が辛くなった時に「黒い星が増えた…」と考えるようにしています。 黒い星とは何か?黒い星とは「今日終わらなかったタスク(業務)」のことです。 なぜ、こんなもったいぶった名前をつけてい

          ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

          上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

          先日、このようなことをつぶやきました。 仕事を進める上で重視される言葉に「主体性」や「自主性」というものがあります。 要は「課題に対して自分から率先して動く」ことなのですが、これがまあ難しい。上司からすれば部下が勝手に問題を解決してくれるわけですから、当然欲しい能力、意識になります。 新卒採用でも「主体性がありそうか」というのは評価ポイントになるでしょう。主体性があれば積極性もあり、積極性のある人材は成長が期待できるからです。 ※ちなみに「主体性」と「自主性」は意味が

          上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

          『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

          いよいよ発売されるカプコンの『ドラゴンズドグマ2』。 3月6日には各種メディアのレビューやインタビューが一斉に投稿されました。 どのメディアに対しても丁寧に踏み込んだ返答をするディレクターとプロデューサー。質問に対して「それは◯◯がコンセプトなので」「ああ、コンセプトが◯◯ですからね」と明瞭に応える好感触なインタビュー…なのですが。 なんだかコンセプトが多いような!? 先に言い訳をすると、インタビューを読めばわかる通り『ドラゴンズドグマ2』は軸を(しかも相当に太くて強固

          『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト