あんてな

国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個…

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国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個人差がありますので、戯言ないしちょっとした呟き程度の取り扱いとして頂けますと。

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ゲームデザイン:人の心を動かす力

過去に投稿したこのような記事があります。 ゲーム要素の「押し」と「引き」|あんてな (note.com) ゲームには「押し」と「引き」の要素があり、それによってユーザーの体験(というより行動)をコントロールできる、と。 しかしながら、もしかしたら「押し」も「引き」も根本的には同じものかもしれない… というようなことを、ここ最近はずっとモヤモヤと考えていましたが『スターデューバレー』をプレイして答えが見えた気がします。 前回のおさらい自分が書いた過去の投稿を読み返して

    • ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

      X上でつぶやいた内容のリンクです。 ログ化しないと、流れてしまってもったいないので… 最後にまとめを書いているので、そちらだけ読むほうが分かりやすいかもしれません。 とはいえ、所詮メモですが… 結論がボヤけていたので先にまとめます。 「やらされてる感」は「主体性が無い状態で強制的にゲームプレイを継続している時」に発生する感情です。 主体性は「自分の意思」あるいは「自由意思」と言い換えてもいいですね。 「主体性が無い」状態は「ゲームの仕組みにより奪われた」場合と「ゲーム

      • ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

        ゲーム開発は楽しいときもあればしんどい時もあり、多くの時間はしんどい気もしますが、やはり楽しい時もあり…というように、結構な時間をしんどく過ごします。 しんどさのほとんどはメンタルに来ますが、その中でも強烈なのが「黒い星」です。 …造語なので、世間一般で通用する言葉ではありません。 私は仕事が辛くなった時に「黒い星が増えた…」と考えるようにしています。 黒い星とは何か?黒い星とは「今日終わらなかったタスク(業務)」のことです。 なぜ、こんなもったいぶった名前をつけてい

        • 上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

          先日、このようなことをつぶやきました。 仕事を進める上で重視される言葉に「主体性」や「自主性」というものがあります。 要は「課題に対して自分から率先して動く」ことなのですが、これがまあ難しい。上司からすれば部下が勝手に問題を解決してくれるわけですから、当然欲しい能力、意識になります。 新卒採用でも「主体性がありそうか」というのは評価ポイントになるでしょう。主体性があれば積極性もあり、積極性のある人材は成長が期待できるからです。 ※ちなみに「主体性」と「自主性」は意味が

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        ゲームデザイン:人の心を動かす力

          『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

          いよいよ発売されるカプコンの『ドラゴンズドグマ2』。 3月6日には各種メディアのレビューやインタビューが一斉に投稿されました。 どのメディアに対しても丁寧に踏み込んだ返答をするディレクターとプロデューサー。質問に対して「それは◯◯がコンセプトなので」「ああ、コンセプトが◯◯ですからね」と明瞭に応える好感触なインタビュー…なのですが。 なんだかコンセプトが多いような!? 先に言い訳をすると、インタビューを読めばわかる通り『ドラゴンズドグマ2』は軸を(しかも相当に太くて強固

          『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

          バグったゲームデザイン

          ゲームデザインではユーザーを狙った感情を導くために「現実の模倣・再現」「一般に浸透している遊び」「ヒトの欲」などを利用します。 たとえば「アイテム購入(買い物の模倣)」「レベルアップ(成長の模倣と記号化)」「敵の撃破(破壊欲)」「3すくみ(じゃんけん)」「役を揃える(トランプ・麻雀)」「探索と発見(支配欲)」など… 日々発売されるゲームやゲーム業界関係者の研究、一般ユーザーの忌憚なき感想によって「ユーザーを楽しませる仕組み」がどんどん発見されています。 ですが、ふと思っ

          バグったゲームデザイン

          話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?

          2021年に『Vampire Survivors』が発売され世界を塗り替え、2022年は『ELDEN RING』がコンシューマ業界をあっと言わせ、2023年は『ホグワーツ・レガシー』や『アーマード・コア6』が思わぬ売れ行きを見せ、2024年が始まったと思ったら『パルワールド』が爆発的なヒットを記録中。 そんな中、新たな新星が登場しました。 ポーカーにデッキビルドを組み合わせた『Balatro』です。 どういうゲームなの?ベースはポーカーです。 山札から配られたカードのう

          話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?

          レベルデザイン:ジャンプの基本

          2Dアクションゲームを作る時は「ジャンプ」アクションをどう扱うかが重要です。つまり「ジャンプ」をテーマにどのようにレベルデザインするか。 「ジャンプ」チュートリアルのレベルデザインを解説してみます。 1:ジャンプを知らなければ先に進めないそのゲームを初めてユーザーが遊ぶ時、ジャンプアクションがあることを知りません。ではそれをどうやって教えるか。ジャンプしなければ先に進めないようにします。最初は低い段差にして簡単に越えられるようにします。 2:少し高い段差も越えられる1番

          レベルデザイン:ジャンプの基本

          不真面目なゲームデザイン

          ボードゲームであれ、コンピュータゲームであれ、ゲームデザインはプレイヤーに対して「フェアであること」が求められます。 フェアである…すなわちゲーム側がプレイヤーに対して「騙さない」「嘘をつかない」「不平等にしない」「隠さない」「無理強いしない」など… プレイヤーにとって「ズルいよ!」と思われないようにすること、それが「フェアなゲームデザイン」と言えるでしょう。 一見すると「フェアなゲームデザインを心がける」ことは正しいと思えます。 しかし、ゲーム開発はむしろ「いかにフェ

          不真面目なゲームデザイン

          『未解決事件は終わらせないといけないから』をもっとよく知りたいから

          パルワールド旋風の裏でひっそり盛り上がっているのが『未解決事件は終わらせないといけないから』というゲームです。(自分調べ) 『リーガル・ダンジョン』や『レプリカ』の開発者Somi氏の最新作で、優れた物語と独特なゲームシステムによって他には無いゲーム体験を提供してくれます。 ゲーム内容について語ると何もかもがネタバレになりそうなので口をつぐみますが、『HerStory』が好きな人であればまずオススメできますし、逆に今作が好きだった人は『HerStory』をプレイすることをオ

          『未解決事件は終わらせないといけないから』をもっとよく知りたいから

          ゲームデザイン:反応の種類

          ゲームは「インタラクティブなメディア」 ゲームは「インタラクティブなメディア」です。 ※インタラクティブ=双方向性、対話性 ユーザーが入力した内容がゲーム側で処理され、モニターなどを通じて出力を返す。簡単に言えば、何かすればモニターの中の世界が変化する…「反応を返してくれる」のがゲームというメディアの特徴です。 「反応」という言葉の曖昧さゲームは「インタラクティブ=反応を返すメディア」とも言えます。 ゲーム開発では多種多様な問題が発生しますが、多くが「反応不足」から生ま

          ゲームデザイン:反応の種類

          仮説:ゲームを面白くする方法

          面白くないゲームはユーザーが離脱します。 そして酷評され、売上の低迷を招き…最悪会社をたたむことになります。 逆に面白いゲームを作ればユーザーはプレイを継続し、ゲームをクリアし、好評となり、売上も伸びて…事業も続けることができます(やったね!) 誰しも望んで不幸になろうとは思わない。 面白いゲームを作ってユーザーも自分もWinWinのハッピー!を目指している。 やるべきことは単純で「ゲームを面白くする」それだけです。 なぜユーザーは離脱するのか?ユーザーがコントローラ

          仮説:ゲームを面白くする方法

          コヨーテタイムはどこから生まれたのか?

          今やアクションゲームを作る多くの人が知っているであろう【コヨーテタイム】という仕様。 ヒットゲーム『Celeste』に搭載された「地面から離れても少しの間はジャンプ入力を受け付ける」という仕様です。 ゲームシステムの多くは「過去のゲームの模倣とアレンジ」から生まれてきます。【コヨーテタイム】についても、きっと元ネタとでも呼べる仕組みがあったはずです。それはいったいどのゲームの、どの仕組みなのか? ※『Celeste』の開発者を批判する意図はまったくありません 【コヨーテ

          コヨーテタイムはどこから生まれたのか?

          ドラクエ1が出来る過程を妄想する

          久しぶりにフリーゲームの『雪道』を遊ぶと、HPをじっくり見つめながら遊ぶRPGが遊びたくなりました。HPをじっくり見つめるなら、1ポイントあたりの重要度が高いほど良い。数値の貴重さを自覚できるほど少量であるほうが良い。 ということで、流れで『ドラゴンクエスト1』を遊びました。 ※スマホアプリ版 ドラクエ1の良いところと言えば、戦闘で敵が1体しか登場しないこと。 こちらと相手の行動が交互に訪れることが約束されているので「次はどう行動するのが良いか」を考えやすく、成功も失敗も

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          5つのゲームの「作り方」

          ゲーム開発は難しい。 これは実際にゲームを作った・作ろうとした人であれば、誰もが頷くと思います。 今週(2023年12月中旬)2つのニュースが発表されました。 まさにゲーム開発の難しさを体現していたと思います。 『The Day Before』開発スタジオの閉鎖大きな期待受けたサバイバルTPS『The Day Before』開発スタジオ、突然閉鎖を発表。早期アクセス配信開始からわずか4日で開発中止へ - AUTOMATON (automaton-media.com) 期

          5つのゲームの「作り方」

          通路をデザインする

          レベルデザインは「中身」こそが「外枠」を決めますが、思考の遊びとして「外枠」のみを考えてみます。 タイプ1:骨組みから開始する①スタート地点とゴール地点を決めて間を線でつなぐ ②通路化する ③通路を太らせる ④完成 考察 先に骨(順路)を決めているので安定感がある 意外性がない タイプ2:枠を作って削っていく①枠を決める ②スタート地点とゴール地点を決める ③自由気ままに削っていく 考察 複雑な地形が作りやすい 複雑化してしまう 寄り道を意識しづら

          通路をデザインする