あんてな

国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個…

あんてな

国内のゲームプランナーの業務に役立つ知識を書いていきます。 ですが、役立つかどうかは個人差がありますので、戯言ないしちょっとした呟き程度の取り扱いとして頂けますと。

記事一覧

固定された記事

ゲームデザイン:人の心を動かす力

過去に投稿したこのような記事があります。 ゲーム要素の「押し」と「引き」|あんてな (note.com) ゲームには「押し」と「引き」の要素があり、それによってユーザーの…

あんてな
5か月前
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ゲームデザイン:それはそれ、これはこれ

日々ストレス※ここから先はフィクションです 先日、仕事でイラっとすることがありました。 上司のミスにより、終了したタスクが無駄だったと分かったのです。 「ごめん…

あんてな
8時間前
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実録(嘘)ゲームの企画書の作り方

実録(嘘)と書いてある通り、与太話です。 過去にゲームの企画書を作る機会があったのですが、その時に学んだ考え方を虚実混ぜつつ紹介します。 これで明日から企画書が…

あんてな
2日前
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MDAフレームワークのリンクを集めてみた

このところ(24年5月)ゲームのメカニクスについての論争があり、その中で「MDAフレームワークに刮目せよ」という意見が…あるようでなかったのですが、ちゃんと理解で…

あんてな
9日前
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ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

X上でつぶやいた内容のリンクです。 ログ化しないと、流れてしまってもったいないので… 最後にまとめを書いているので、そちらだけ読むほうが分かりやすいかもしれません…

あんてな
2週間前
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ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

ゲーム開発は楽しいときもあればしんどい時もあり、多くの時間はしんどい気もしますが、やはり楽しい時もあり…というように、結構な時間をしんどく過ごします。 しんどさ…

あんてな
3週間前
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上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

先日、このようなことをつぶやきました。 仕事を進める上で重視される言葉に「主体性」や「自主性」というものがあります。 要は「課題に対して自分から率先して動く」こ…

あんてな
1か月前
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『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

いよいよ発売されるカプコンの『ドラゴンズドグマ2』。 3月6日には各種メディアのレビューやインタビューが一斉に投稿されました。 どのメディアに対しても丁寧に踏み…

あんてな
2か月前
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バグったゲームデザイン

ゲームデザインではユーザーを狙った感情を導くために「現実の模倣・再現」「一般に浸透している遊び」「ヒトの欲」などを利用します。 たとえば「アイテム購入(買い物の…

あんてな
2か月前
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話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?

2021年に『Vampire Survivors』が発売され世界を塗り替え、2022年は『ELDEN RING』がコンシューマ業界をあっと言わせ、2023年は『ホグワーツ・レガシー』や『…

あんてな
2か月前
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レベルデザイン:ジャンプの基本

2Dアクションゲームを作る時は「ジャンプ」アクションをどう扱うかが重要です。つまり「ジャンプ」をテーマにどのようにレベルデザインするか。 「ジャンプ」チュートリ…

あんてな
2か月前
9

不真面目なゲームデザイン

ボードゲームであれ、コンピュータゲームであれ、ゲームデザインはプレイヤーに対して「フェアであること」が求められます。 フェアである…すなわちゲーム側がプレイヤー…

あんてな
3か月前
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『未解決事件は終わらせないといけないから』をもっとよく知りたいから

パルワールド旋風の裏でひっそり盛り上がっているのが『未解決事件は終わらせないといけないから』というゲームです。(自分調べ) 『リーガル・ダンジョン』や『レプリカ…

あんてな
3か月前
9

ゲームデザイン:反応の種類

ゲームは「インタラクティブなメディア」 ゲームは「インタラクティブなメディア」です。 ※インタラクティブ=双方向性、対話性 ユーザーが入力した内容がゲーム側で処理…

あんてな
3か月前
17

仮説:ゲームを面白くする方法

面白くないゲームはユーザーが離脱します。 そして酷評され、売上の低迷を招き…最悪会社をたたむことになります。 逆に面白いゲームを作ればユーザーはプレイを継続し、…

あんてな
3か月前
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コヨーテタイムはどこから生まれたのか?

今やアクションゲームを作る多くの人が知っているであろう【コヨーテタイム】という仕様。 ヒットゲーム『Celeste』に搭載された「地面から離れても少しの間はジャンプ入…

あんてな
4か月前
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ゲームデザイン:人の心を動かす力

ゲームデザイン:人の心を動かす力

過去に投稿したこのような記事があります。

ゲーム要素の「押し」と「引き」|あんてな (note.com)

ゲームには「押し」と「引き」の要素があり、それによってユーザーの体験(というより行動)をコントロールできる、と。

しかしながら、もしかしたら「押し」も「引き」も根本的には同じものかもしれない…

というようなことを、ここ最近はずっとモヤモヤと考えていましたが『スターデューバレー』をプレイ

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ゲームデザイン:それはそれ、これはこれ

ゲームデザイン:それはそれ、これはこれ

日々ストレス※ここから先はフィクションです

先日、仕事でイラっとすることがありました。

上司のミスにより、終了したタスクが無駄だったと分かったのです。

「ごめん、別の仕様が更新されたの忘れてて」

追い打ちをかけるように、部下のミスが発覚しました。

「なんか変だとは思ったんですけど、まあ大丈夫かなって」

たまったストレスをぶつける相手もなく、これはお菓子に頼るしかない…
今日はコンビニで

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実録(嘘)ゲームの企画書の作り方

実録(嘘)ゲームの企画書の作り方

実録(嘘)と書いてある通り、与太話です。

過去にゲームの企画書を作る機会があったのですが、その時に学んだ考え方を虚実混ぜつつ紹介します。

これで明日から企画書が書けるようになりますよ、というものではなく「そういう考えもあるんですね」程度の内容なのでさらっとお読みください。

私自身もこの考え方を守ってるわけではないですが、思い返すようにはしています。

企画書を作れ!「社内プランナーの企画力が

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MDAフレームワークのリンクを集めてみた

MDAフレームワークのリンクを集めてみた

このところ(24年5月)ゲームのメカニクスについての論争があり、その中で「MDAフレームワークに刮目せよ」という意見が…あるようでなかったのですが、ちゃんと理解できていないなあと思ったのでひとまずリンクをベタベタと貼り付けることにしてみました。

とくに分析もできておらず、本当にメモとしての列挙です。

皆さん普通に扱えていてすごいなあ…という思いと、今更無知が露呈するのは恥ずかしい…という思いが

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ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

ゲームデザインの罠:「やらされてる感」の正体とは

X上でつぶやいた内容のリンクです。
ログ化しないと、流れてしまってもったいないので…
最後にまとめを書いているので、そちらだけ読むほうが分かりやすいかもしれません。
とはいえ、所詮メモですが…

結論がボヤけていたので先にまとめます。

「やらされてる感」は「主体性が無い状態で強制的にゲームプレイを継続している時」に発生する感情です。

主体性は「自分の意思」あるいは「自由意思」と言い換えてもいい

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ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

ゲームプランナーのメンタルケア:黒い星に気をつけろ!

ゲーム開発は楽しいときもあればしんどい時もあり、多くの時間はしんどい気もしますが、やはり楽しい時もあり…というように、結構な時間をしんどく過ごします。

しんどさのほとんどはメンタルに来ますが、その中でも強烈なのが「黒い星」です。

…造語なので、世間一般で通用する言葉ではありません。
私は仕事が辛くなった時に「黒い星が増えた…」と考えるようにしています。

黒い星とは何か?黒い星とは「今日終わら

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上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

上司と部下がお互いの担当範囲を認識する方法

先日、このようなことをつぶやきました。

仕事を進める上で重視される言葉に「主体性」や「自主性」というものがあります。

要は「課題に対して自分から率先して動く」ことなのですが、これがまあ難しい。上司からすれば部下が勝手に問題を解決してくれるわけですから、当然欲しい能力、意識になります。

新卒採用でも「主体性がありそうか」というのは評価ポイントになるでしょう。主体性があれば積極性もあり、積極性の

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『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

『ドラゴンズドグマ2』のコンセプト

いよいよ発売されるカプコンの『ドラゴンズドグマ2』。
3月6日には各種メディアのレビューやインタビューが一斉に投稿されました。

どのメディアに対しても丁寧に踏み込んだ返答をするディレクターとプロデューサー。質問に対して「それは◯◯がコンセプトなので」「ああ、コンセプトが◯◯ですからね」と明瞭に応える好感触なインタビュー…なのですが。

なんだかコンセプトが多いような!?

先に言い訳をすると、イ

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バグったゲームデザイン

バグったゲームデザイン

ゲームデザインではユーザーを狙った感情を導くために「現実の模倣・再現」「一般に浸透している遊び」「ヒトの欲」などを利用します。

たとえば「アイテム購入(買い物の模倣)」「レベルアップ(成長の模倣と記号化)」「敵の撃破(破壊欲)」「3すくみ(じゃんけん)」「役を揃える(トランプ・麻雀)」「探索と発見(支配欲)」など…

日々発売されるゲームやゲーム業界関係者の研究、一般ユーザーの忌憚なき感想によっ

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話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?

話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?

2021年に『Vampire Survivors』が発売され世界を塗り替え、2022年は『ELDEN RING』がコンシューマ業界をあっと言わせ、2023年は『ホグワーツ・レガシー』や『アーマード・コア6』が思わぬ売れ行きを見せ、2024年が始まったと思ったら『パルワールド』が爆発的なヒットを記録中。

そんな中、新たな新星が登場しました。

ポーカーにデッキビルドを組み合わせた『Balatro』

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レベルデザイン:ジャンプの基本

レベルデザイン:ジャンプの基本

2Dアクションゲームを作る時は「ジャンプ」アクションをどう扱うかが重要です。つまり「ジャンプ」をテーマにどのようにレベルデザインするか。

「ジャンプ」チュートリアルのレベルデザインを解説してみます。

1:ジャンプを知らなければ先に進めないそのゲームを初めてユーザーが遊ぶ時、ジャンプアクションがあることを知りません。ではそれをどうやって教えるか。ジャンプしなければ先に進めないようにします。最初は

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不真面目なゲームデザイン

不真面目なゲームデザイン

ボードゲームであれ、コンピュータゲームであれ、ゲームデザインはプレイヤーに対して「フェアであること」が求められます。

フェアである…すなわちゲーム側がプレイヤーに対して「騙さない」「嘘をつかない」「不平等にしない」「隠さない」「無理強いしない」など…

プレイヤーにとって「ズルいよ!」と思われないようにすること、それが「フェアなゲームデザイン」と言えるでしょう。

一見すると「フェアなゲームデザ

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『未解決事件は終わらせないといけないから』をもっとよく知りたいから

『未解決事件は終わらせないといけないから』をもっとよく知りたいから

パルワールド旋風の裏でひっそり盛り上がっているのが『未解決事件は終わらせないといけないから』というゲームです。(自分調べ)

『リーガル・ダンジョン』や『レプリカ』の開発者Somi氏の最新作で、優れた物語と独特なゲームシステムによって他には無いゲーム体験を提供してくれます。

ゲーム内容について語ると何もかもがネタバレになりそうなので口をつぐみますが、『HerStory』が好きな人であればまずオス

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ゲームデザイン:反応の種類

ゲームデザイン:反応の種類

ゲームは「インタラクティブなメディア」
ゲームは「インタラクティブなメディア」です。
※インタラクティブ=双方向性、対話性

ユーザーが入力した内容がゲーム側で処理され、モニターなどを通じて出力を返す。簡単に言えば、何かすればモニターの中の世界が変化する…「反応を返してくれる」のがゲームというメディアの特徴です。

「反応」という言葉の曖昧さゲームは「インタラクティブ=反応を返すメディア」とも言え

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仮説:ゲームを面白くする方法

仮説:ゲームを面白くする方法

面白くないゲームはユーザーが離脱します。
そして酷評され、売上の低迷を招き…最悪会社をたたむことになります。

逆に面白いゲームを作ればユーザーはプレイを継続し、ゲームをクリアし、好評となり、売上も伸びて…事業も続けることができます(やったね!)

誰しも望んで不幸になろうとは思わない。
面白いゲームを作ってユーザーも自分もWinWinのハッピー!を目指している。

やるべきことは単純で「ゲームを

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コヨーテタイムはどこから生まれたのか?

コヨーテタイムはどこから生まれたのか?

今やアクションゲームを作る多くの人が知っているであろう【コヨーテタイム】という仕様。

ヒットゲーム『Celeste』に搭載された「地面から離れても少しの間はジャンプ入力を受け付ける」という仕様です。

ゲームシステムの多くは「過去のゲームの模倣とアレンジ」から生まれてきます。【コヨーテタイム】についても、きっと元ネタとでも呼べる仕組みがあったはずです。それはいったいどのゲームの、どの仕組みなのか

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