研究プレゼンの極意 ”なぜ次の実験をするのか明らかにする”
こんばんは、先日不仲だけど研究を引き継ぐことになっているM2の先輩の修士論文発表を聞きに行ってきました。
他の研究室の学生さんの発表を聴いていると、自分に基礎知識が足りていないという前提はあるにしても「わかりにくいなぁ」「なんでこの実験してるんだろう?」と思うプレゼンが沢山ありました。
一方で、同じ研究室の人でも「なるほどな」とより深まった「この変化はあの物質が関係しているんじゃないかな?」と疑問を持てる発表をする人も居ました。
その二人で何が違うのか。
1つは、きちんと”伝える”発声の仕方をしていること
2つは、実験と実験の間がわかりやすいこと
今日は2つ目の方に重点を当てようと思います。
きちんとした研究はまとめると、一つの川の流れのように表現できるはずです。
例えば、最近読んだ論文(Alessia,2018)を例に紹介すると
【いいプレゼン】
微小管がシロイヌナズナの茎頂分裂組織の発生に重要な役割をしている
⇒でも、具体的なメカニズムはわかっていない
⇒力学的シミュレーションしてみよう
⇒シミュレーション結果:細胞壁に働きかける遺伝子がはたらいていそう
⇒その遺伝子が働いているか、染色して調べてみよう
⇒染色したら、本当にはたらいていることがわかった
⇒・・・
ちょっと専門的な話が入ってきたのでとっつきにくいかもしれませんが、
実験毎に何が分かって、次に何を知りたいから次の実験をするのかをしっかりと伝えられる構成だと思います。
でも、これを
【悪いプレゼン】
微小管がシロイヌナズナの茎頂分裂組織の発生に重要な役割をしている
⇒力学的シミュレーションしました
⇒細胞壁が変化していることが示唆されました
⇒細胞壁改変遺伝子が発現しているか染色で調べたら、発現していました
大分雰囲気変わると思います。
発表者からしたら、何度も考えて何度もみてきた現象。
だから実験毎のつなぎの言葉を入れなくてもわかってしまう。
でも、聴衆は初めて聞いた話です。
しかも、15分とかの短い時間の中で初めて聞く実験を3,4つと紹介されるのだからその一つ一つの繋がりを考える余裕は中々ありません。
口頭発表という、他の人の時間を強制的に使う発表をする以上
出来るだけ多くの人に伝わる構成にするのが筋であると考えます。
これから自分のやっていることを発表する機会がある大学生(高校生)の人は是非、実験一つ一つのつながりを明らかにするように留意してみてください。
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