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「分かった気になる」ことの大切さ。入門書としてのスライド作り【Antaa Slideインタビュー】音成 秀一郎先生(広島大学病院)

こんにちは、Antaa運営です。いつも素敵なスライドを投稿くださり、ありがとうございます! Antaa Slideに投稿いただいている先生方に、投稿のきっかけや投稿後の変化、今後の展望をインタビューするこちらの企画。

今回は、先日Antaa Slide Award 2021に選出された「脳波 レジデントが押さえておきたい2つのPOINT」を作成された音成秀一郎先生(広島大学病院)に、Antaa Slideを使い始めたきっかけや、スライド作りで心掛けられていることをうかがいました。

――音成先生、このたびはおめでとうございました。「ねしげ」先生とお読みするんですね! 先生がAntaa Slideを使い始めたきっかけを教えてください。

ありがとうございます。よく「おとなり」と呼ばれますが、「ねしげ」と読みます。私は、2年ほど前にSNSでAntaa Slideを知りインストールしました。ジャンルの広さもそうですが、若手からベテランまで幅広い世代の先生が投稿されていて刺激を受けましたね。新年度から回ってくる研修医に渡す資料にもなるかな?と、脳波のスライドを作成したのを覚えています。

――この脳波のスライドをまとめられる上で、工夫した点などがあれば教えてください。

受賞時にもお話しましたが(参考記事:Antaa Slide Award 2021受賞スライド発表!)、脳波はとても地味な検査です。私でさえ脳波そのものを楽しいと思ったことはあまりありません。ですが、脳波判読を通して脳の病態を推測することや、神経診察所見や他の検査データとも照らし合わせて治療方針を考えるプロセスはとても面白いです。

心電図やグラム染色の読み方を教わった時に「面白い!」と実感した経験は誰しもあったのではないでしょうか。脳波でも若手の先生がそう実感できるきっかけになればとスライドを作成しました。

脳波はまずどこをどう見るのか、基本的な手順を紹介するような入門の入門をイメージしました。どんな神アプリやゲームでさえも、ルールや使い方が分からなければ面白くないですよね。

――スライドを作成する上で大事にしていることがあれば教えてください。

こだわりはありませんが、閲覧者が求めるテーマや難易度は想定するようにしています。また内容が難しいものであっても、スライドを見た人が「なんとなく分かったような気になれること」も大事にしています。これらのことは過去に指導医に教わったアドバイスの一部です。指導してもらったことを大事にする、が大事にしていることです。

『あなたのプレゼン 誰も聞いてませんよ!』(南江堂)は有名な本ですよね。私も読みまして、スライドの見栄えの大事さを実感し、配色、余白、配置、フォントなどを配慮するようになりました。ですがスライドの表現は個性や嗜好もあるので、良し悪しはもちろんないと思います。

一方で、見やすさばかりにこだわらないように後輩医師に指導しています。例えば『脳波のことを全く知らないウェブデザイナーに作成依頼した脳波のスライド』と『パワーポイントを初めて使う若手医師が伝えたい内容をしっかり勉強して作成したスライド』のどちらを見てみたいでしょうか? 英会話教室に通っても国際学会で英語のプレゼンがうまくいかないのと同じで、スキルよりコンテンツを大事にしています。これも受け売りです。

――今回のスライド作成大事にしていることがあれば教えてください。

脳波は天候と同じようにパラメーターが多く、とても複雑です。全て読もうとすると奥が深すぎて暗中模索になります。そもそも一般臨床で求められている脳波判読レベルはもっとシンプルなはずです。そこで今回は「てんかんの有無」、「意識障害の有無」の2つのポイントだけに絞ったスライドとしました。極端なスライド構成となりましたので、専門の先生がご覧になると物足りないと感じるかもしれません。

――実際にスライドを投稿してみて、反響はいかがでしたか?

私の所属している広島大学病院脳神経内科では、脳波判読のウェブセミナーを定期的に開催しています。学内に限らず学外の方にも所属に関係なく参加いただける会です。最近ではAntaa経由で知ったという学外の先生方からのご連絡も多く頂戴しています。総合内科はもちろん救急系など幅広い領域の先生にもAntaa経由でご参加をいただいています。

他にも、投稿したスライドに紹介しておりました書籍個人ブログへの反響もあり感謝しています。

――脳波を学んだ経緯について教えてください。

私が若手のころ、「脳波をきちんと理解している脳神経内科医はいないよね」と先輩医師に言われて衝撃を受けたことを覚えています。実際に私も卒後6年経ったころ、全ジャンルの中で最も分からなかった、かつ臨床的にも困っていたことは脳波の判読でした。

大学院に進むのであれば、一番苦手な分野を学んでみるのも面白いなと思い、2015年より京都大学の脳神経内科学(高橋良輔教授)、てんかん・運動異常生理学講座(池田昭夫教授)の下で勉強させていただきました。すごく分かりやすい判読コンテンツで、丁寧にご指導いただきました。このような経験を多くの若手医師に伝えたいと思い、現在の所属で後輩指導を行なっています。京都大学への留学も後輩に勧めています。

――ありがとうございます。Antaa Slideを利用される上で、こんな機能があったらいいな、といったご要望はありますか?

フィルタリング機能が充実するといいなと思います。関心領域の新着スライドのアラートが届くと便利ですね。アマゾンであるような「あなたにオススメ」的なスライドの案内があっても良いかもしれません。

また閲覧数の多さと各個人の関心度は必ずしも相関しないと思います。閲覧数が少ないスライドはどうしてもリストの下に埋もれてしまいます。ですが閲覧数が少ないものでも自分には興味のド真ん中!というスライドはあるはずです。個人にフィットした使い方ができると便利ですね。

▼Antaa Slide Award 2021の結果発表記事はこちら

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