"国際派"新卒が日本で働き始めて感じたこと

あんりです。今年の3月に大学を卒業して日本で働き始めて約3ヶ月がたちました。
そして先日以下のようなツイートをしたのですが、私が感じたこの3か月のこと、振り返ってみようと思います。


一言でまとめると....「ネットで見聞きしていた通りの日本企業だ」
というのが3か月経った総括です。

目次
そもそもなぜ日本企業に入社したか
日本企業驚きの日々
 その1 日本社会=日本企業説
 その2 心病む人多い
葛藤その1 環境vs仕事内容
葛藤その2 成功者のはずでは!?
葛藤その3 日本、特異説

〇そもそもなぜ日本企業に入社したのか

 私が現在勤めているのはいわゆる日本の大手企業です。

この会社を選んだ漠然とした理由としては、

1.私は元々「日本企業的な」体質とか文化が合わない/苦手という意識があったのですが、身近な人でいわゆる「日本企業」に勤めている人がおらず、悪名高い日本の働き方や文化が本当にtwitterで流れてくるようなものなのだろうか?実際にその環境で働いたことないのに批判して嫌うのはダサくない?と思い入ってみることを決意

2.仕事内容よりも働く環境を重視して働きやすい職場を選択
(過去のノートで別の観点から触れていますhttps://note.mu/anrieurope/n/na82c0aea31e1

もちろん、もっといろいろあるんですけど大まかに以上のような理由から、弊社を選びました。

〇衝撃の日々

ー日本社会を煮詰めると日本企業

そうして期待と不安を胸に入社したあんりでしたが、はじまりはとにかく過酷でした。そう、それは新人研修。
私の3か月の歴史においても嫌な思い出top3に入るのがこの研修です。
何が嫌だったかをまとめると「理不尽」「日本の部活感」です。
「社会人としての自覚」「企業人としての行動」を説かれ、噂には聞いていた悪名高きマナー研修も受けました。
これが一番しんどく「女性は薄化粧をしましょう」「女性は替えのストッキングを持っておきましょう」との授業に、隣に座っていた外国人の友人と一緒に「こんな女性差別的な研修いいの?!」と憤っていました。
また、お辞儀の角度をチェックされたり、立ち座りの練習をしたりと軍隊に入ったような気分となり、そして小中学校の卒業式の「練習」を思い出しました。
ちなみに3か月を振り返ってこのお辞儀の練習が役立ったと思うことは1度もありません。

他社に行った同期の友人たちと話して、弊社が異常ではなく(むしろだいぶマシな方で)、古き良き日本企業感が強いほど研修も長く、日本企業感(体育会感)が強いようでした。(休憩時間から遅れて戻ってきたら連帯責任で怒られる/大声で返事をさせられる 等)

このような研修を受けながら、やっぱり私にはこの中学部活感無理だ。何か他に道を探そうと転職サイトを入社第一週目の週末に本気で見ていたのは良い思い出と同時に、忘れてはいけないなと思います。

研修が終わりかけてほっとしたのもつかの間、次にあんりに襲い掛かった試練は「飲み会」でした。
そうそれは、私の新人歓迎会でした。若手から偉い方までそろった席で、男女問わず若手の先輩がされているのは上の人のグラスが空かないように気を配り、飲み物のオーダーを取り、空いたグラスをお店の人に渡し、サラダなど配るものがあればさっととりわけ...
配慮とか気が利くとかいうレベルではなく、ほぼ自分は食べ飲みせずにお店の人以上に動いていらっしゃいました。
私も一番の新人として先輩が動いている以上動かなくてはと思うと同時に、大学時代に一切こういう文化と縁がなかったので「なんでこんなに若いからといって動かなくてはならないんだろう?」と衝撃をうけました。
「あんりさんは主役の1人だから今日は動かなくて大丈夫だよー! あ、でも次回からはお願いします!」
と年上の方に明るく言われて固まってしまいました。

配慮として「~さん 飲み物飲まれますか?」とか聞くのは全然嫌悪感なく、やりたいと思います。しかし、あの席は話を楽しむことよりも何よりもグラスが空になっていないかに全神経を集中させなければならない感じでした。
年上の方も、「グラス空になったのになんで注文しないんだ」とかは思わないしその場合自分で注文すると思いますが、若手が動くのが「文化」となっているので、「動けない若手だな」とかは思われるかもしれません。
また、私一人が「私そういうのはやりません」宣言をすることは可能ですが、大人数飲み会の場合は結局他の若手の先輩が多く動くこととなり、たださぼりたいわけではない私としては不本意な結果となります。

その場にいる一番職位の高い人が「飲み会」廃止宣言をしない限り、若手がやらなかったらその上の年代層が上位職位の人にやるのでなくならないだろうなと思いました。

ちなみに後日、大学で体育会系の部活に入っていた友人とこのエピソードを話した際に言っていたのは、友人も同じようなことを体験したらしいのですが、体育会の部活においてまず最初に教わるのがお酒の席での振る舞いで、それに慣れているため特に何も思わなかったとのこと。

働いてからも思いますが、日本の「体育会系」カルチャーって日本企業文化を煮詰めたものなんじゃないかと思います。そりゃ、就活において体育会系枠があるのも超納得です。

ー心を病む人多い

タイトルまんまなのですが、これには本当に驚きました。
「〜さん、休職するらしいね」
「先輩が、会社これなくなっちゃったみたいで」

ほとんどの場合はメンタルが原因でした。
こんな話をよく耳にし、最初は驚いていたものの段々「またか」と感じるくらい珍しい話ではないと知りました。
弊社が異常に多いのかと思ったこともあったのですが、取引先の企業などと話をするとそうでもないようでした。
海外で働いたことはないので比べられず、もしかしたら国問わず社会人は一定心を病んでしまう(かなり無理がありますが)ものなのかもしれないですが、こんなにも心を病んでしまうのかと驚きました。

それと関連しているかは置いておいて、社会人となってから「ヤバイ」人に遭遇したり、ヤバイ人の話をよく聞きます。
まぁ、今までより格段に出会う人の数も幅も広がり、学生時代は合わないと感じた人は関わりを持たなければよかったものの、働くなると関わりを持たざるをえないことを考えると至って普通の話です。
しかし、「アイツのせいでもう6人辞めてる」
などのような人が、仕事ができるのであいつを辞めさせると回らなくなる、などの理由で辞めずにいて、またそのような人が何人もいるのには驚きました。

なんでその人ではなくその人の周りの人が辞めていくのか。
明日は我が身だと思って不安に感じています。
これも働いて感じることですが、上司ガチャ、配属ガチャ、まさにです。
同じ会社でも、部署によって文化も雰囲気も違いますし、部署によってもより詳細な配属されるところによって異なりますし、そして上司によっても雰囲気が違います。同じ会社、同じ部署の友人と話していて、違う会社みたいだと思う感じることがよくあります。

職務でも、人間関係でも日本企業感でも…まさに運任せのガチャです


◯葛藤その1 環境vs 仕事内容


そうして波乱万丈のスタートを切ったあんりでしたが、働き始めてある一定面白いこともありました。
アルバイトを除いて働くということをしたことがなかったので、超大人数の、様々な利害を持つ人と協力する方法や、タスク管理をして多くの仕事を効率よくこなしていく方法。自分の仕事として伴う責任感 etc
「社会人力」的なスキルとして得ているものはあり、今までとは別ベクトルに成長している感じはありました。

しかし、私あんり、自他共に認める効率合理性大好き人間なのでもっとこうしたら効率良いのに/なんでこんな無意味なことするんだろうと思うことが多々ありました。(一番わかりやすく衝撃だったのは、ある数字を探すために ctrl+Fで検索したら、目で探してと言われたこと)
また、業務内容もこれに関する知識をつけても今後の私のキャリアに全く必要ないじゃん、ということについて勉強せねばならず、それが私のやりたいことや興味を持てることでもなかったのでものすごくフラストレーションが溜まりました。(現在進行形)
例えば医療従事者だったら、医療の知識をつけることが、手術の練習をすることが仕事においての成果にもつながるから勉強するモチベーションになるじゃないですか。

でも、私が今勉強してることってまぁ、この数年の業務では必要なのですが部署異動になったら全く必要ない知識になるわけで、私元々generalな社会人能力つけるために弊社に入って、この職種の違う面(a面)の知識を手に入れようと思っていたのですが残念なことに私の配属先はa面よりb面の知識をつけないといけないところでした。(配属ガチャ、成功ならず
数年経ったら他の部署いけるから数年の我慢だよ!と先輩に励まされたりしましたが、全く興味がない、欲しくない知識を勉強する必要があるとことに自分の若い数年をささげるのは絶対無駄だと思ってます。

そうなると、募るのは焦りと不安で、私の貴重な時間をこんなにキャリアに必要ないことに使って良いのか?私の能力無駄にしてない?どうやって抜け出そう?と考え始めました。

ここで就活ミスったかなと強く思ったりしました。
(配属ガチャのリスクを負わない、職務からして興味がある会社に行くべきだったか? )
実は入社半年前から職種に関しては後悔していました

そとそも職種としてはコンサルなどに興味があった私でしたが、周りの人の過労っぷりを見聞きして人間らしい生活がしたいと思って職種というか業務内容を妥協して人間らしい生活が送れる会社に入った経緯があります。

実際私の生活はピュアホワイトでとても人間らしい生活が送れています。
その時間でこれを書いたり、次のステップに行くために調べたり勉強しているわけですが
しかし、今この状況となって周りの友人を見てみると、コンサルに行った友人は会社の研修でJavaなどを受けてその資格も取って…と、私が興味もやる気もあり学びたいと思うことを学んでいました。(ただし終業後も土日も勉強)
研修後の実務になってもしかしたら彼女は激務な日々を送るのかもしれませんが、「今」の私は彼女の状況がとても羨ましいです。
まぁ、私のピュアホワイトな職場環境を活かして終業後にJavaでもCでも学べるのですが、彼女の場合その時間に給料が払われているわけで…
私は他にも投資銀行などにも興味がありましたが話を聞くと激務なようです。
最近本当にわからなくなります。
働く環境(休みの取りやすさ/残業のなさ)と仕事内容、どちらを優先して仕事選びをするべきか。
どちらも手に入れるのってほぼ無理じゃない?
人生の優先順位によるんだと思いました。そしてその人生の優先順位は一貫しているものもあれば、時によって変わることもあるんだろうなと思います。今私はパートナーも子供もいないので、興味があることだったらある一定までは残業も苦じゃないかもしれません。
ピュアホワイトな環境だけど興味がない職務か、ブラック労働状況だけど興味はある職務か。。。


〇葛藤その2 成功者...?!

入社してあるときふと思いました。いろいろ上記のように思ったりすることはあるけど、今の私って日本システムにおけるファーストステップの成功者のはずだと。
(ここから社内出世競争や転職含むビジネスでの競争に乗り、人生の第二競争が始まるのだと思いますが)
「成功者」ってとても語弊がある言い方ですが、私は海外留学中に「日本社会学」のような授業を受講していて、そこで日本型の社会は以下のようだと学びました。

良い会社に入ることが人生のゴールで、
良い会社には入るために良い大学に入り、良い大学に入るために受験戦争を経て良い高校に入り、良い高校に入るために(受験戦争を経て)良い中学に入り...

実際私の同期も日本の大学ランキング上から10個とってきたみたいな出身大学構成です。
そして今いわゆる良い会社に入ったわけで、ある意味「ゴール」したわけですが、ゴールで得られる対価ってこれ?え、これ本当にゴールしてるの?
と感じたりします。給料とか給料とか、充実度とか。。。
(もちろん会社選びによってはこの待遇面は変わりますが)

もちろん、自分の今の境遇は恵まれていると思います。
疑問を抱くこともあるし、上をみたらきりがないけど、親が投資してくれた教育費用や機会があるからこそ安定した「サラリーマン」の地位を手に入れられているのだということは念頭にあります。
でもいわゆる一流企業に就職してみえる景色はこんなものか。と思ってしまうところも大きいです。
(私が興味ないことを今やっているからなのかもしれないですが...

そうして入社三か月目にして自分がやりたいことをやる方法をいろいろ調べているあんりですが、同じような境遇の友人と話していて二人で結論に達したのは、「会社員および何も行動しないことは楽」です。
就活は経ましたがそもそも就職活動というレールに乗ったうえでの今の立場です。自分で仕事を作るのではなく、会社として振ってくる仕事のなかの自分の業務を行い、多くはないけど人一人生活するには十分なお金が月々自動で手に入る。こう考えるととっても楽です。
起業とか会社を辞めるとかにはエネルギーがいります。そのエネルギーをどうとらえるか。多分大抵の人はこのエネルギーをかけてまでして自分の今の生活を変えたいと思ったときに行動するのだと思います。

〇葛藤その3 日本人特異説

今の会社で嫌なことがあった時、疑問におもったとき、私は口には出さず、脳内で、英語で罵ったり疑問を叫んでいました。
ふとなんでだろうと考えると、日本語だと20数年間日本社会で鍛えられた空気を読む力が発揮されてしまうんですよね。
私は~だと思う。でも上司は~だと思わないから言わない方が良い。。
上司が私の論理とは合わないことを言っている。なんでですか?って聞きたいけどまた嫌な顔されると思うと聞けない。 

みたいな。(私の性格の問題や上司の性格の問題も大いにあると思いますが
でも第二言語である英語ではもやもやが驚くほど出てくる...
友人の外国人にこういうことを愚痴ると100%なんで本人に直接言わないの?と聞かれます。確かにそうなんだけど..
ことばにすると、多分波風立てずに「空気を読んで」仕事をするのは良しとされているから、なのかなと思います。昔から思ったことはどちらかというとはっきり言いたいタイプだったはずなのにだんだんと空気を読むことに慣れている私がいて
そしてその私は私がなりたい私ではなくて。

そしてあるとき「異文化理解」のような研修を受けた際に、日本と異なる海外の商習慣や仕事に対する考え方を学んだのですが、それが驚くほど論理的で気持ちよくて。
日本と異なる国の商習慣を理解しましょうという研修ですが、目が向くのは日本の特異性でした。

「それはあなたの仕事であり、私の責任ではない」
「私は自分の仕事の責任を果たしていて、私がそれを手伝うことでなんのメリットがあるのか?」
冷たい、個人主義 といえばそうなのですが、私に足りなかったのはこのマインドかもしれないと翌日の業務から思い、自分の意見は少しずつですが主張するようになりました。
「あなたは上司として説明する責任があるし、その説明を受けていないのに私がわからないのは私の責任なのか?」等 

サラリーマン。私が見えている世界や感じるものはこのリーマン世界のごくごくわずかで、同じリーマンでも違う会社に入れば全く違う世界が見えたり好きなことに関係するリーマンライフであれば毎日が楽しくて仕方なかったりするのでしょうが、とりあえず私の視点から、私の新生活で感じたことをまとめると以上のようです。
私が感じたことが、私の会社だから起こるのか、日本企業だから起こるのか、はたまたどの国で働こうと働くってこういう感じなのか比較対象がないのでわからないです。
あと3年後、この企業でめちゃめちゃ仕事を楽しんでいる自分もいるのかもしれませんが、私は自分が興味ないことに触れた結果自分がやりたいことがよりクリアになったのでいったんそちらを目指すために努力しようと思います。


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