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三宅町が目指すビジョンに集中特化。自治体複業におけるPMの役割とは?


複業人材として関わるプロジェクト期間が終わっても、僕たちのアドバイスは三宅町に礎として残る。さらには他の自治体にも広げていってくれる。そういった「自治体の複業人材の活用」における記念碑的な仕事になることは間違いないと思い、参画しました。

そう語るのは、奈良県三宅町に人事・採用戦略アドバイザー兼、プロジェクトマネージャー(以下PM)として複業で参画した佐野創太さん。

奈良県三宅町には、「DXアドバイザー」「人事・採用戦略アドバイザー」「広報戦略アドバイザー」の3職種で7名の複業人材が登用されました。人事・採用戦略アドバイザーとともにPMとしての役割も担った佐野さん。

今回はそんな佐野さんに、なぜ三宅町に複業で参画しようと思ったのか、PMとしてどのような取り組みをしたのかなど、ざっくばらんにお話を伺いました!

*プロフィール

佐野創太_編集

佐野 創太氏
ひと・会社・まちの立ち上げ編集者/「退職学™️」の研究家。慶應義塾大学卒業後、株式会社パソナ パソナキャリアカンパニーに入社。早期退職、転職失敗、無職を経て再入社。家族の看病を機に独立し、現在は株式会社オーネットのオウンドメディア「おうね。」編集長、株式会社TRUSTDOCKの採用広報を兼務。「退職学™️」の研究家としてのべ1,000名以上の退職キャリア相談に乗り、退職後も声をかけられ続ける人物に成長する「最高の会社の辞め方」を研究・体系化している。また、Abema Primeで「セルフ終身雇用」を解説。2021年11月末には退職本の出版を予定。プライベートでは1児の父であり、Covid19と出産をきっかけに妻の実家の長野と東京の二拠点生活中。


ゼブラ型の町、三宅町で新しいロールモデル作り

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ーー町の新しいロールモデル作りをしたいなと思い、三宅町の複業プロジェクトに応募したとのことでしたが、なぜそう思っていたのですか?

小さな町が移住者や関係人口を増やすことができたら、それがロールモデルとなり、他の小さな町の原動力になると思ったからです。

全国で2番目に小さい町、三宅町に移住者や関係人口が増えたりすると「あんな小さな町でもできるんだったら、うちの町もできるんじゃないか」といって、また他の小さな町も頑張ろうという気持ちになってもらえそうじゃないですか。

そうすると結果的に日本全体が元気になるのではないか、という発想をずっともっていました。


ーー他にも小さな町がある中で、なぜ三宅町だったのですか?

三宅町はユニコーン企業ではなく”ゼブラ企業”だな、と思ったからです。

ユニコーン企業というのは、拡大や成長を実現するためにひとやお金といった資源を集中させて自社が勝つ戦略を取ります。それに対しゼブラ企業は、持続可能という価値観を重視して、コラボすることを戦略とする企業です。

なんとなく、三宅町はゼブラ企業みたいだなと思ったんです。

三宅町の方々は、三宅町だけを元気にしたいというよりも、三宅町が元気になることで、近隣の自治体も元気になり、そしたら奈良も元気になって・・・というように、自分たちの盛り上がりを他の町にも広げていこうという思考をもたれていた。町のロールモデルを作りたいと思っていた僕に、ピッタリだったんです。


ーー他に、このプロジェクトに関わろうと思った理由はありますか?

Webメディアの編集長として、人やチーム・コンテンツの編集には携わってきたので、今度は町の編集をやってみたら面白そうだなと思ったことがきっかけです。

子供が生まれたことがきっかけで、妻の実家である長野で生活するようになり、”地域の人”が身近になりました。そこで自分が今まで培ってきた編集というスキルを使い、何か地域の人返せるものはないかと考えていました。長野でも探してみたのですが、自分に合うものがなく、その時に三宅町の公募をみました。

あとは、仕事を受けるときに「誰とやるか・なぜやるか・何やるか・どうやるか」の中でも、誰とやるかとなぜやるかの2つを重視していて。誰とやるかという点に関しては、Twitterで三宅町長の森田さんから返信が来て、興味を持ちました。Twitterで仲良くなる人は、自分と相性が合うので。(笑)


ーーなぜやるかは、三宅町のどの部分とマッチしたのですか?

仕事の終わりである”退職”を研究するくらい、”終わり”というものに元々興味があります。”終わり”というのは儚いけれど、自分がいなくなったとしても礎として残るものがあったらいいなと日頃から思っていて。

森田町長を含め三宅町の職員の方々とお話しし、僕たち複業人材のアドバイスを、プロジェクト期間が終わっても三宅町の礎にしてくれると感じました。

今回の複業プロジェクトで得たノウハウが、他の自治体にも広勝手いく。そういった意味で「自治体の複業人材の活用」における記念碑的な仕事になることは間違いないと思い、参画することを決めました。


各チームの横の繋がりをつくる、潤滑油としてのPMの役割

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ーー三宅町では、実際にどのようなことに取り組んでいましたか?


PMに関しては、職員の方と民間の人では日常的に使っている言語が違う場合があり、噛み合わない部分があります。そこを整理してコミュニケーションを円滑にしていました。潤滑油のような存在です。あとは森田さんが掲げるビジョンや今回のプロジェクトの目的はどういうものかというところを、ずっと繰り返し伝えていました。


採用の方では2つプロジェクトが動きました。1つ目は、MiiMoという複合施設のコミュニティプロデューサーを募集するために、採用広報の仕方を一緒に考えました。もう1つは、人事の制度設計を行いました。


ーー潤滑油、かっこいいです。PMとして、意識していたことはありますか?

横の交流を生み出すということを意識していました。三宅町のプロジェクトでは、「人事・採用戦略アドバイザー」「DXアドバイザー」「広報戦略アドバイザー」の3職種において7名の複業人材が集まりました。

傍から見ると繋がらない3職種ですが、3つの専門領域をどう繫げて、三宅町が目指したいビジョンに集中特化するか、ということを意識していました。そういう意味でも、各チームを円滑に結びつける潤滑油のような役割でした。


ーー各チームの結びつきというのは、どのような場面で発揮されましたか?

職員の方とのお話を通し、プレオープン間近であった複合施設MiiMoに一番力を入れていこうということになりました。

MiiMoの課題は、コミュニティプロデューサーを採用するということで、人事・採用戦略チームが担うことになりました。しかし、まずは三宅町の知名度を上げなければならないよね、ということになり発信のプロである広報チームに声をかけました。

DXチームは、住民の方の町の体験をよくすることを目的に、デジタルを手段としたときに何ができるかを考えていました。

そのため、一番住民の方々に向き合っていたのはDXチーム。その視点はMiiMoを考える上でも必ず必要になってくるので、DXチームにも声をかけました。MiiMoに関しては、各チームの力が集結したものとなりました!


地方複業で働きがいを見出す

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ーー三宅町のプロジェクトを通して、新たな気づきは得られましたか?

大きく2つあります。1つは、いいものを作るときは、価値観や過去の経験が違う人を混ぜることと、ハブになる人が必要だと改めて気付かされました。

たとえば記事を書くにも、編集の人がいてライターがいてとなると、だいたい似たようなテイストの記事ばかりになります。ツーベースヒットは打てても、ホームランは打てない記事になると思うんですよ。そこにマーケターを入れたり、デザイナーを入れたりと違う色を加えることで、面白いものが生まれてくる

ただ、違う色の人を混ぜすぎると食い違いが起こるので、今回僕が三宅町で担ったPMのような”ハブになる人”が必要なんです。そこに気づくことができて良かったです。

2つ目は、地方複業は働きがいを取り戻すためのきっかけになる、と気づいたことです。退職学™️を研究していることからキャリア相談を受けるのですが、働きがいを感じづらくモヤモヤ感が続いている人が多い印象です。

しかし地方複業であれば、誰と働くかにプラスして、どの地域に貢献するかというもう一つの働きがいがプラスされるんです。地域の人から感謝され、自分の好きな地域に貢献できている心理状態は、働きがいを取り戻しやすいと思います。そのため、働きがいをもう一度定義し直したい方にとっては特に、地方複業をおすすめしています。


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取材・編集:高岡 慧

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