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サンドイッチの味わいと、高度情報化社会

目をつぶって食べると、味や香りや食感が鋭くなる。こんなにたくさんの情報が得られるんだと、目を開けているときには気づかなかった、食べるという感覚。
パンのトーストされた香ばしさ、引き立つ甘さ。トマトの瑞々しさ、レタスのシャキリとした食感、織りなすハムを噛む感覚。そして、すべてが混じり溶け合うサンドイッチとしての味わい。

別になんてことはない、いつも食べているものなのに、まるで別のものを食べているかのような圧倒的な情報量。私たちが得る情報は視覚がその大部分を占めるという。その視覚がないほうが情報量が多くなるなんて。

それがおもしろくて、何度も目をつぶって、口にする。コーヒーはいつもより苦いような気がする。これも、視覚がない影響なんだろうか。

高度情報化社会において、私たちは常に意図せずとも膨大な情報に接している。私たちの1日に受け取る情報量は、江戸時代の人の1年分だとかなんとか。
情報があまりに多すぎて、ああでもないこうでもないと、結論を急いてはみたって、ああでもないこうでもないと、同じところをぐるぐるすることも少なくはない。結論に至る一筋の光が見えたとて、いや、でも、なんて他の視点で考えたが最後、また思考はまわる。

もし目をつぶることができたなら。
いま必要な情報が研ぎ澄まされそうで。サンドイッチを食べるのに、ニュースを見る必要はない。音楽を聴く必要もない。ただ、口に入るその食べ物から得られる情報を楽しめばいい。

今日は目をつぶってみようかな。
嫌なことを見て見ぬ振りをするのではなく、見ないようにするのではなく、ただ自分に必要な情報に気づくために。

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