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ブルガリアで出逢う“JAPAN”


ブルガリアに住んでいて、日本との繋がりを感じる瞬間というのは想像以上に多い。

「Япония」(日本)の、文化、食、言葉、社会を、ブルガリアの人々が興味を持って楽しんでくれている姿を目にする度に、日本人として強い幸せを感じる。

今回は、ブルガリアの首都ソフィアで目にした、ブルガリアと日本の交流の様々な形をご紹介したい。

ブルガリアでのお花見イベント

まず最初にご紹介したいのは、ブルガリアの首都ソフィアの中心にある公園で、4月に開催された”お花見イベント”だ。

なんと、このイベントは1975年以降、毎年開催されているらしい。
(2020年と2021年はコロナウイルスの感染拡大のため中止)

時期は異なりますが、過去の開催について書かれているサイトはこちらから。

そして、このイベントでは、桜を樹木するのが恒例のよう。

今年も10本の桜の木が、ブルガリア人と日本人の手で植えられていた。

習字で好きな文字を書いてもらうブルガリアの人々

日本に留学経験のある友人が、着物を着て参加していた。

自分で着付けした黄色の着物が、彼女のキャラクターに合っていてとても綺麗でした。

折り紙のコーナーで、小さな女の子と一緒に手裏剣を作った。

最後に「Мерси」と照れくさそうに言ってくれたあの笑顔、かわいかったな。

ブルガリアの伝統「マルテニッツァ」が結び付けられた桜は、ブルガリアでしか見られない特別な桜ではないだろうか。

このお花見イベントに来ていた在ブルガリア日本大使館の館員さんが、「こんなに日本が愛されている国っていうのも珍しいんだよ」と私に話してくれたのが印象に残った。

「様々な国で、勤務をした上でブルガリアには日本のことを好きな人が多いと思う」とのこと。

日本関連イベントの多さに驚く

お花見だけではなく、ブルガリアでは様々な日本関連のイベントが催されている。

続いてご紹介するのは、ソフィアにある高校で行われたイベントだ。

高校のイベントはなかなか自分で知る機会が無いが、たまたま友人が「こんなイベントがあるよ!」と教えてくれたおかげで行くことが出来た。

いざ高校に着くと予想を遥かに超えた大きな規模で日本文化のコーナーがあったことに驚いた。

着物を着た高校生が、本格的な習字道具を使って書いてくれた。

友人と、「私達にピッタリ」と話しながら漢字を選んだ。

「漫画ルーム」という部屋を覗くと、最近の作品から1980年代のものまで、漫画が大量に置かれている。

部屋にいた学生と話してみると、なんと少し日本語を話すではないか。

「どこで勉強したの⁉︎」と聞くと、この高校では日本語を学ぶことが出来ることが分かった。

ブルガリアにある高校では、この高校だけが日本語の授業を開講しているらしく、多くの学生が日本語を勉強しているらしい。

最初は緊張している様子だったが、好きなアニメや漫画の話を聞いてみると、嬉しそうにたくさん話してくれた。

改めて、日本語を学ぶ若い世代の人達は、やはり漫画やアニメなどのサブカルチャーがきっかけの人が多いなあと思う。

日本では、主に京都のお茶屋さんで親しまれているイメージがある「金毘羅船船(こんぴらふねふね)」が体験できるコーナーも。

大学生の友人が、かなり熱くなって遊んでいる様子を見るのがとても愉快であった。

それにしても、金毘羅船船なんて遊びをよく知っているものだなぁと感心した。

日本語学習

ブルガリアで日本語を学ぶことが出来る大学は、ブルガリアにある51校のうち、4校だ。

4校のうちの1つ、「新ブルガリア大学」に通う友人と先生のご好意で、日本語の授業に講師として参加することが出来た。

友人の授業ノート

ちなみにこの授業で講師を務める“ステラ先生”は、かつて日本に11年間住んでいて、日本でお子さんを産んだ経験のある、元気で明るい素敵な女性だ。

日本人として日本語を教える中で、自分自身も勉強になることが非常に多い。

例えば、「日本人はどうして電車の写真を撮るんですか?」( ”撮り鉄“のことを言っている)という質問をされたり、「日本では使用済みの下着を売るサイトがあるんですよね?」という、外国の人が持つ日本社会に対するイメージに思いもかけず気が付いたりする。

ここで出逢った友人は、本当に良い人達ばかりだ。

NARUTOのTシャツで授業に来てくれたり、授業外でもご飯や遊びに沢山誘ってくれて本当に良くしてもらっている。

日本とブルガリアの話だけではなく、個人として互いに意見を交換し合い、知ろうとしてくれる。

単なる「日本語話者」ではなく、「人間同士」の本当の友情を感じることが出来る心の底から出会えてよかったと思うことが出来る人たちだ。

日本文化センター「KOKORO」

ソフィアには、「Japanese culture  center KOKORO」という日本文化センターが存在する。

ここでは、日本の文化を紹介するイベントや、日本語のクラスが開催されている。

入口のデザイン

内装がかなり日本ぽい造りで、初めて訪れた際には感動したのを覚えている。

私は、ここで週に2度日本語や日本文化を教えている。

また、週に1度ブルガリア語を学んでいる。

ブルガリア語だけではなく、ブルガリア文化をブルガリア育ちのブルガリア人の先生から教えて頂ける素敵な機会があるのは、とても有難いことだと思う。

ユーモアがあり、いつも楽しい授業を提供してくれるアンドレイ先生。

イースターの日には、ブルガリアで伝統的に食べられるパン「Козунак(コズナック)」を買ってきてくれた。

日本文化に興味を持ち教室に来てくれる人達が沢山いること、こうして、ブルガリアの文化を私たち日本人に伝え楽しませてくれるこの交流の機会が、本当に有難いなと毎回感謝している。

カラオケ体験

ブルガリアにもカラオケはある。

しかし、日本にあるカラオケとはかなり異なる。

まず、カラオケボックスではなく、お店の中に大きなステージがありそこで他のお客さんの前で熱唱するスタイル。

そして、カラオケBARという名で存在するように、お酒を飲みながら歌う賑やかな雰囲気がある。

私のように目立ちたがりの人間にとっては大勢の人と盛り上がることが出来るので、日本のカラオケよりも圧倒的に楽しい。

カラオケに初めて行った日、折角の機会だったので、多くの人がメタルやロックを歌う中で「アニメソング」を歌ってみた。

歌った曲はナルト疾風伝の主題歌「bluebird」

「絶対に変な空気になるだろうな」と思いながらも勇気を出して選んだのだが、イントロが流れた瞬間に会場は大盛り上がり。

歌い終わりステージを降りると、「小さい頃ナルト大好きだったよ〜!」「日本から来たんだね!勇気がすごいよ!」と多くの人が話しかけてくれた。

いかつい見た目の優しいお兄さん

日本のアニソン、そしてサブカルチャーの人気をここでも強く実感した。

日本人として

日本からかなり離れた場所にあるブルガリアで、日本をこんなに感じることがあるなんて予想もしていなかった。

そして自分の功績でもないのに誇らしく思う自分がいることに気がついた。

こうやって日本の文化を知ろうとしてくれたり、愛してくれる人がいるブルガリアで生活をする「日本人」である私。

「私という存在」が、彼らが更に日本を好きになるきっかけになったならばとても嬉しい。

そう心がけながらこれからも自分らしくブルガリアで生活していきたいと思う。

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