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そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ

※作品のネタバレや結末の内容を含みます。ご注意ください。


なんか、悲惨な物語というわけではないのに、なんだか読んでてものすごくしんどくなった。
主人公はつらい気持ちを無意識に抑え込んでいるようにしか思えなかった。抑え込むことで、周りから見ても、自分から見ても強くなって、冷めていったんだって。
それが私には苦しかった。
この物語はただの御涙頂戴や感動物語ではないと思う。実は苦しんで、苦しみながら生きた1人の少女の人生なのだと私は思う。

2年、2年間ブラジルに行ったのちお父さんは戻ってきた。ああ、たった2年。あのときお父さんについて行っていれば、とどうしても思ってしまう。そして、父について行くか、その選択を子どもにさせた親の弱さ。何もわかってない。親はなにもわかってない。

先生からの「あなたほど親から愛された子どもはいない」という言葉。物語を通じてずっと私の頭の片隅にあった。本当にこの一言が、この物語を端的に表していると思う。

母もこの本を読んだが、そこまで苦しい気持ちにはならなかったようで、ぐったりする私に「もう読むのやめれば」と声をかけた。
この物語がこんなに苦しく感じたのは、私も似たようなところがあるからなのかもしれない。本当はしんどいのに、無理してるのに、意識して、または無意識のうちに自分の中で押さえつけて、なにかと理屈を並べて平気にする。でもそのツケはどこかで回ってくる。
優子が幸せになれてよかった。

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