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猿場つかさ「○」

◆作品紹介

唯一無二の書道SFの傑作である。○。すなわち円環、空洞、あるいは句点。文字が連なりひとつながりの時空間を形成し、書となることで歴史を生む。描かれた○が永遠に閉ざされた円環を駆動すると同時に、異なる円環に向かって穴を穿つ。句点によって一つの文字列は終わり、次の文字列が始まる。新たな時間が途切れることなく流れ出す。それも無数に。○とは何か。それは確定を断言しつつ不確定を宣言するもの。つまりは単に、ことばである。なお、本作は大森望編『ベストSF2022』(竹書房文庫)の掲載候補作「これはなにに見える?」に加筆・修正を行ったものである。商業アンソロジーには様々な様々が絡み合い載らない作品もあるが、特に何も考えずにおもしろいと感じたら即載せるわれわれanon press的には間違いなくベストSFだ。(編・樋口恭介)

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